奈良文化財研究所学報「第48冊(1990) 年輪に歴史を読む」(DENDROCHRONOLOGY IN JAPAN ,RESEARCH REPORT OF THE NARA NATIONAL CULTURAL PROPERTIES RESEARCH INSTITUTE No.48)を電子公開しま...
続きを読む上手な字 書けるまで 古代の役所では日々、様々な文書が作られていました。もちろんパソコンなどはありませんから、すべて手書きです。役人たちには、文字を正しく美しく、書きこなす能力が求められました。 平城京や藤原京・飛鳥地域の発掘調査では、彼らが文字の練習をした、手習いの木簡(墨で文字を書い...
続きを読む土器の中 込めた祈り 皆さんは「地鎮祭(じちんさい)」を知っていますか? 家を建てる時に、土地の神様を鎮(しず)め、その許しを得るための祭りです。地鎮祭は今でも広く営まれていますが、その始まりは、およそ1300年前の藤原京の時代にさかのぼります。今回は、古代の地鎮祭のお話です。 古代の人...
続きを読む今回の特別展に先立ち、「現代の匠」である小泉武寛先生に和同開珎の製作を行っていただきました。製作は現代の手法も一部使用していますが、古代の銅銭のつくりかたを再現しています。会場では、小泉先生作の和同開珎とともに、その製作工程を撮影した映像を用いて鋳造技術の工程を紹介しています。 会場では飛...
続きを読む飛鳥時代には、古墳時代以来の土師器や須恵器に加え、瓦や塼仏、施釉陶器など、新たな焼き物が作られる時代でもあります。このうち瓦や塼仏は笵を用いて成形したことが知られています。また、暗文を施した土師器の椀は、光沢をもつ金属製の椀をまねて作ったものと考えられています。さらに、施釉陶器に用いる釉薬は、...
続きを読む大量生産のジレンマ 屋根に瓦をふいた家は現在、普通に見られます。しかし奈良時代には、瓦は貴重で、瓦ぶきの建物は、宮殿や寺院、役所に限られていました。 中でも奈良時代の平城宮(奈良市)では、膨大な量の瓦が使われました。2010年に復元された第1次大極殿にふかれた瓦は、なんと10万枚にも上り...
続きを読む自然と人の共同作品 奈良らしい風景。それは大きな寺院があって、その前に鹿のいる風景だけではありません。 例えば、柿の木や梅が谷間を埋める五條市の風景、茶せんの材料となる竹林が風に揺れる生駒市高山の風景、そうめんを寒干しする桜井市の冬の風景など、個性豊かな風景が県内各所に見られます。 ...
続きを読む2014年5月19日~23日の支援状況 先週に引き続き、平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡と、縄文時代中期・古代の集落遺跡である東町遺跡の発掘調査に従事しました。 上渋佐原田遺跡での奈文研チームの主な作業は、検出した建物などの各種遺構の図面作成でした。 東町遺跡では、縄文時代の竪...
続きを読む皆さんこんにちは。 GWが終わり、平城宮も新緑まぶしくなってきました。 毎年この清々しい時期になると、 平城宮跡資料館は遠足で来られた小学生の皆さんでにぎわいます。 連日、大型バスが駐車場に次々と吸い込まれ、 一日に3、4校が集中する日も珍しくありません。 展示室では、みなさん右手に鉛筆...
続きを読む特産品担ぎ いざ都 次の遠足は、歩いて東京に行くことになりました――。なんて学校の先生が言い出したらどうします? でも、電車も飛行機もなかった奈良時代、人々は全国から歩いて平城京にやってきました。それも税金を払うために。昔は税を、米や布などの品物で納めていました。しかも、それを運ぶのも税のう...
続きを読む解体でわかる新事実 県内には、世界最古の木造建造物である法隆寺金堂をはじめ、多くの文化財建造物があります。これらはどのようにして現在まで保存されてきたのでしょうか。 日本の古建築の最大の特徴は、木造だということです。建物は、柱や柱などをつなぐ部材からなり、クギや接着剤をほとんど用いず、お...
続きを読む2014年5月12日~16日の支援状況 先週に引き続き、平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡の発掘調査の支援をおこない、さらに縄文時代中期・古代の集落遺跡である東町遺跡の発掘調査支援も開始しました。上渋佐原田遺跡では、検出した建物をはじめとした各種遺構の図面作成が主な作業でした。 東町遺...
続きを読む今回の展示会場の中心には、川原寺の工房から出土したさまざまな遺物や遺構模型が並んでいます。もっとも目を引く鉄釜の鋳造遺構の模型は、発掘現場の遺構を型取り、実物の鋳型をはめこんで製作しました。高温で溶かした鉄を大きな鋳型に流しこむ鋳造作業の迫力を生々しく伝えるものです。 さらに、窯から出土し...
続きを読む第5回写真コンテスト関連イベントの写真教室の詳細が決まりました。【奈文研写真室による写真教室】飛鳥資料資料館で、初めての写真教室を2日間開催します。ご興味のある方ぜひ応募ください。・7月25日(金)14時から ①写真のパソコン仕上げ術・8月23日(土)14時から ②デジタルプリントテクニック 応募締...
続きを読む飛鳥資料館では2011年度から写真コンテストを開催し、毎回多数の素晴らしい写真をご応募いただいております。そこで、この春、第1回から第4回までの入選作品をまとめた写真集を刊行いたしました。 飛鳥には、今も万葉の原風景をつたえる景色がいたるところに残っております。コンテストに寄せられた写真からは、...
続きを読む2014年5月 「奈良といえば鹿」と言われるように、奈良は鹿のデザインであふれています。その代表は、平城遷都1300年祭や奈良県のマスコットキャラクターである「せんとくん」でしょう。せんとくんには立派な鹿の角が生えていますね。 奈良の町を歩いていると、鹿以外にも見かける動物がいます。それはラクダ...
続きを読む下駄に残された足の痕跡 皆さんは靴を何足持っていますか。2足? 3足? 10足以上? 今、身の回りには、いろんな履物があります。スニーカーやブーツ、サンダル……。数え挙げればきりがありません。 でも奈良時代にあった履物は、木製の下駄(げた)と沓(くつ)、ワラを...
続きを読む朝鮮半島から大量輸入 皆さんは平城宮跡資料館に行ったことがありますか。資料館の下からは、馬を管理する「馬寮(めりょう)」という役所の跡が発掘され、馬小屋や馬の水浴び場の痕跡が見つかっています。 奈良時代、馬は移動や運送に利用されましたが、最も重視されていたのは軍事力でした。このため、各地...
続きを読む東日本大震災の被災各地では、現在、復興事業にともなう発掘調査が、全国の地方公共団体から派遣された埋蔵文化財専門職員の支援によって進められています。 奈良文化財研究所も、昨年度は、岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、福島県広野町、同県南相馬市からの支援要請に応じて、職員派遣と技...
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