なぶんけんブログ|奈良文化財研究所に関する様々な情報を発信します。

2010年1月アーカイブ

年輪年代学-年輪は自然がつくりだした歴史年表-

年輪年代学-年輪は自然がつくりだした歴史年表-

 年輪年代学では、木材の年輪変動を調べることにより、その木の伐採年代や枯死年代を求めことができます。  この方法の1番の特徴は、木材試料中の各年輪が形成された年を1年単位で決定できる点であり、得られた年代に誤差がないという点では数ある自然科学的年代測定の中でもとりわけ優れた方法です。  欧米ではポピ...

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保存修復科学-貴重な文化財を次代に残す-

保存修復科学-貴重な文化財を次代に残す-

フィールドワーク  平城宮跡では建物の礎石や基壇が数多く出土します。これらのうち、風化によって脆くなった凝灰岩石材などは、有機ケイ素化合物(有機シリコーン樹脂)で含浸強化した後、撥水処理を行います。飛鳥地域では、閃緑岩が著しく風化しているのを見かけます。(写真1)  また、非常に脆くなった遺物を取り...

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環境考古学-ゴミ溜めは宝の山-

環境考古学-ゴミ溜めは宝の山-

 貝塚を掘ると、貝層の中から貝殻はもちろんのこと、土器や石器、獣骨、鳥骨、魚骨などが数多く出土します。  戦前の考古学者は土器や石器を人工遺物とよび、貝殻、獣骨、鳥骨、種子、木材片、岩石などを自然遺物として分類しました。前者は考古学者が、後者は自然科学者が研究するものと定義したのです。その結果、長い...

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飛鳥時代の幕開け

飛鳥時代の幕開け

古墳文化の華-藤ノ木古墳- 馬具(1)棘葉形杏葉 神仙思想の色濃い三角縁神獣鏡、ゴージャスな金製耳飾、無骨な甲冑など、古墳時代を彩る遺品は数々あるが、その終わりに咲いた花といえば、藤ノ木古墳の馬具をおいて右に出るものがない。 ©奈良県立橿原考古学研究所・文化庁 馬具(2) 鞍金具(複製) 銅に金メッ...

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律令国家の胎動

律令国家の胎動

天皇家の大寺造営 吉備池廃寺の発掘 桜井市吉備(きび)にある吉備池の周囲を、1997 年から 5 年にわたり発掘調査をおこなった。その結果、池の東南部に張り出した土壇(どだん)が金堂(こんどう)跡であり、その西にならぶ土壇が巨大な塔跡であることが判明した。これらの東・南・西には回廊(かいろう)がめぐ...

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天武・持統朝の世界

天武・持統朝の世界

壬申の乱 箸墓の戦い 天智10(671)12月、天智天皇が近江大津宮で亡くなると、翌672年、吉野に隠遁していた大海人皇子(天智天皇の弟)と近江朝廷の大友皇子(天智天皇の子)の間で、皇位継承をめぐる内乱が勃発した。戦いは約1ヶ月におよび、大和、伊賀、伊勢、美濃、近江、山背、摂津、河内など、畿内とその...

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中国式都城「藤原京」の世界

中国式都城「藤原京」の世界

藤原京の建設 役人の歌 役民は全国各地から徴発され、造営に関わるさまざまな仕事に従事した作業員である。『万葉集』巻一「藤原宮の役民の作る歌」からは、木材調達の様子をうかがい知ることができる。それによると、近江の田上山から伐りだした木を筏に組み、宇治川・木津川をへて、泉の津(木津)で陸あげをおこなって...

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