西トップ遺跡に見られる動物意匠 アンコール遺跡群の中に位置する西トップ遺跡の建造物は、砂岩という比較的柔らかい石材でできています。砂岩には様々な装飾が施されており、訪れる人の目を楽しませてくれます。西トップ遺跡は仏教寺院として機能していたと考えられているだけあり、遺跡内では仏像など多くの仏教的な図...
続きを読む仏像台座編 2019年秋から2020年2月にかけて中央祠堂の解体・修復調査に伴って、中央祠堂東正面の調査を順次おこないました。中央祠堂東正面には「仏教テラス」とも呼ばれる細長いテラス状の壇が延びています(写真1)。このテラス上に中央祠堂の基壇から続く台座状の遺構があります(写真2)。この遺構の修復...
続きを読む中央祠堂ラテライト基壇編 西トップ遺跡の調査修復事業では、2015年末に南祠堂再構築、2017年末に北祠堂再構築をそれぞれ完了し、2018年1月より中央祠堂の解体修復調査をおこなっています。2018年1月中に、崩壊が進んでいた中央祠堂屋蓋部の解体と仮組作業を終え、順次躯体部の解体へと進みました。2...
続きを読むレンガ積遺構編 西トップ遺跡では、2016年1月から北祠堂の解体調査を進めました。解体調査の経過についてはこれまでの西トップ通信でお伝えしてきたところです。実はその後、北祠堂においてアンコール遺跡では初めてとなる大きな発見がありました。それが、北祠堂下成基壇地下から発見されたレンガ積遺構です。 ...
続きを読む2019年に私たち奈良文化財研究所のカンボジア事業が25周年の区切りを迎えたことを受け、2019年12月2日、修復作業が大詰めを迎えている西トップ遺跡現地で、「奈良文化財研究所カンボジア事業25周年式典」を開催いたしました(写真1)。 写真1 奈良文化財研究所は、内戦終結直後の1993年に、カン...
続きを読む偽扉部分の復元 これまでの調査で、北祠堂は少し石材が小振りな点、偽扉部分には釈迦如来立像が彫り込まれている点など、南祠堂や中央祠堂とは違った特徴を持っていることが明らかになっています。偽扉とは、建物の扉にあたる部分が開口せず、石材で閉塞されている部分を指します。アンコール遺跡では、寺院を装...
続きを読む中央祠堂の前身遺構 北祠堂の調査修復作業が進行中です。今回は応急的に行った修復事例紹介をしたいと思います。中央祠堂上成基壇北東隅は、20世紀初頭に西トップ遺跡を調査したフランス人研究者のマルシャルにより報告されています。彼は、中央祠堂上成基壇の内側に見えるラテライトに装飾が施されていること...
続きを読む北祠堂下成基壇の解体 これまでのところ北祠堂の解体作業は順調に進んでいますが、南祠堂と大きく異なる点が新たに発見されました。かつて南祠堂では、中央祠堂の南階段を残したまま基壇を構築していたため、私たちが基壇内を発掘したところ、きれいな状態の中央祠堂南階段が発見されました(写真1)。ところが...
続きを読む北祠堂調査修復のはじまり 南祠堂の調査修復に続き、北祠堂の調査修復が始まりました。北祠堂は、基壇の石材が崩落し、上部の建物部分を支えていた基礎部分が弱くなってしまったため、崩壊したものと考えられます。北祠堂は東面と北面はほとんどが崩れてしまい、オリジナルの石材が相当量欠けています(写真1)...
続きを読む西トップ遺跡南祠堂の調査修復事業の締めくくりとして、竣工式典がおこなわれました。2012年より南祠堂解体修復事業を続けてまいりましたが、ここで大きな一区切りを迎えることができました(写真1)。関係者の皆さま、またご支援・ご指導頂いたすべての皆様にまず御礼申し上げます。 式典はアンコール・ト...
続きを読む西トップ遺跡ではカンボジア人調査員4名、クレーンオペレーター1名、サイトマネージャー1名、作業員16名と共に日々作業を続けています。 今日は西トップで働いてくれている作業員さんたちの話題です。 日本の皆さんはご存知でしょうか。カンボジアの識字率を。カンボジアの小学校卒業率を。悲しい内戦...
続きを読む南祠堂は解体前、大きく南側へ傾いていました。 調査の結果、下成基壇内の基壇土が基壇の外側へ流出してしまったことが大きな要因を考えられました。 そのため、今回の再構築にあたっては、基壇土の強化が必要とされました。 地盤・地質の専門家の方々との詳細な調査と試験をおこない、南祠堂に最も適...
続きを読む長らくお休みをいただいていた西トップ通信を久々に再開します。 現在、西トップ遺跡南祠堂再構築が大詰めを迎えています。 西トップ遺跡はアンコール王朝最盛期であるバイヨン期より後のポスト・バイヨン期と呼ばれる時期(13世紀後半~15世紀前半)におおよそ今見る形に造られたことが分かりました。...
続きを読むしばらく途絶えていました西トップ通信ですが、新年度になって新たな調査が始まり、研究員が頻繁に現地入りするようになりました。6月は考古班の第14次調査と6月6・7日に開催された国際技術委員会出席のために、6月1日から調査団が現地入りしました。西トップ遺跡では上成基壇の解体が進んでおり、下成基壇の...
続きを読む現地から報告が届いたのでアップします。中成基壇の解体が始まりました。中成基壇は6段で構成され、四方に階段が取り付きます(写真1)。1段1段、石を外しながら、内部の土を取り除く作業が続いています(写真2)。一番上の石を外したところです(写真3)。基壇外周には砂岩を横に使い、その内側に縦に砂岩平石...
続きを読む上成基壇の仮組を鋭意進めています(写真1)。上成基壇は3段の石積みで構成されています。最下段の石にはその上に乗る2段目の石の位置が線刻で表示されています(写真2)。すべての段にこうした線刻があるわけではありません。今回の新たな発見です。この上成基壇は躯体部が倒れ込んでいたので、南側と西北隅の石...
続きを読む昨日までで上成基壇のほとんどを解体することができました(写真1)。解体しながら基壇の状況を調べています。たとえば躯体部内部には、西側と南側の入り口部をふさいでいた閉塞石が倒れ込んだ状態で発見されました。写真2の奥に並んでいる大形の石材です。解体と併行して、躯体部の仮組を続行しています。写真3は...
続きを読む本日南祠堂躯体部の北面の仮組が終了しました。北面は扉口を5段石材でふさいでいます。躯体部の内部落下石材の中から西面をふさぐ石材も見つかったので、南祠堂は東側だけに開口部を持つ建物であることがわかりました。 この後15日には躯体部の下面、上成基壇上面の実測と写真撮影を終え、基...
続きを読む3月8日に無事に西トップ遺跡修復工事起工式を終えることができました。まず工事の無事を祈って5人の僧侶による読経が行われました(写真1)。その後APSARAの考古遺産局長マオ・ロア氏と、難波企画調整部長(写真2)の挨拶が行われました。挨拶の終了後、中央祠堂の石材に見立てた小形砂岩をクレーンで移動...
続きを読む西トップ遺跡では解体修理に向けた準備が急ピッチで進んでいます。まず遺跡北側に現場事務所を建設中です。瓦屋根のクメール風建築で、解体修理終了後は展示施設として使用の予定です。 遺跡南側では南祠堂の仮組に使用するコンクリート基盤を建設中です。本日はコンクリート打設が終了間際です...
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