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西トップ遺跡通信17(2020年6月10日)[Western Prasat Top 17]

レンガ積遺構編

 西トップ遺跡では、2016年1月から北祠堂の解体調査を進めました。解体調査の経過についてはこれまでの西トップ通信でお伝えしてきたところです。実はその後、北祠堂においてアンコール遺跡では初めてとなる大きな発見がありました。それが、北祠堂下成基壇地下から発見されたレンガ積遺構です。

 北祠堂下成基壇を最下層まで解体した段階で、基壇内の地業面上面から方形のレンガ積遺構の上端が検出されました(写真1)。これは、北祠堂に先駆けて解体調査をおこなった南祠堂では存在しなかった遺構で、北祠堂にのみ存在するようです。

 このレンガ積遺構の調査を進めると、その大きさは検出面で約2m四方、深さが1.5mもある地下室状の遺構であることが判明しました(写真2)。レンガ積遺構は粗い砂で一気に埋められたようでした。掘り下げていくと、床面から10㎝ほどの高さで炭化物や遺物が多く出土しました(写真3)。

 驚いたことに、出土する遺物の多くが金製品だったのです。合計すると金製品が174点、青銅製品29点、ガラス46点、石製品19点、骨11点などが出土しました。

 注目すべきは、これらすべての出土遺物、そしてレンガ積遺構の壁が熱を受けていたことです(写真4)。つまり、このレンガ積遺構内で何らかの火を使った行為・儀礼などが行われた可能性が高いのです。

 アンコール遺跡群には千を超える遺跡が存在しますが、これまでこのような遺構が発見された例はありません。このレンガ積遺構についてさらに多くの調査が必要で、今後も引き続き調査を進めていく予定です。

 

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写真1 北祠堂下成基壇内から検出されたレンガ積遺構面


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写真2 発掘されたレンガ積遺構


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写真3 炭化物と金製品出土状況


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写真4 レンガ積遺構壁面(東面)

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