仏像台座編
2019年秋から2020年2月にかけて中央祠堂の解体・修復調査に伴って、中央祠堂東正面の調査を順次おこないました。中央祠堂東正面には「仏教テラス」とも呼ばれる細長いテラス状の壇が延びています(写真1)。このテラス上に中央祠堂の基壇から続く台座状の遺構があります(写真2)。この遺構の修復のため、台座を最下段まで解体し、発掘調査をおこないました。
すると、台座の下層から砂岩やラテライトの石材を並べた敷石遺構と掘立柱の柱穴を確認しました(写真3)。いま見る台座より古い時期にあたる遺構と考えられ、仏教テラス内だけでも、数次にわたる変遷がみられるようです。
今回の発掘調査では、遺構だけではなく遺物でも大きな発見がありました。 台座周辺から仏像が合計3点出土したのです。台座下層の深さ50cmほどの攪乱坑から、釈迦如来坐像1体が出土しました(写真4)。仏像は頭部が失われており、蓮華文をあしらった台座に座しています。さらに下層敷石遺構の北側から釈迦如来像の頭部が1点(写真5)、敷石遺構上面からも釈迦如来像の頭部1点(写真6)が出土しました。
これら3点の仏像は互いに接合することがなく、別個体と考えられます。過去の台座周辺の発掘調査においても、既に仏像頭部が2点出土しており、台座と敷石遺構周辺では仏像や光背など仏教と関連する遺物が多く出土する傾向がより明らかになりました。今回の調査で出土した仏像は、その特徴からいずれもポスト・バイヨン期(13世紀後半~15世紀中頃)に位置付けられると考えられます。
写真1 仏教テラスと中央祠堂(東から)
写真2 仏像台座解体前の状況(東から)
写真3 仏像台座下層遺構検出状況(東から)
写真4 出土した仏像1
写真5 出土した仏像2
写真6 出土した仏像3