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西トップ遺跡通信13(2016年5月2日) [Western Prasat Top 13]

 北祠堂下成基壇の解体

 これまでのところ北祠堂の解体作業は順調に進んでいますが、南祠堂と大きく異なる点が新たに発見されました。かつて南祠堂では、中央祠堂の南階段を残したまま基壇を構築していたため、私たちが基壇内を発掘したところ、きれいな状態の中央祠堂南階段が発見されました(写真1)。ところが、今回北祠堂の下成基壇内を発掘したところ、南祠堂では存在していた階段が検出されませんでした。つまり、北祠堂では中央祠堂北階段を残さず、どこかの段階で取り壊した上で、基壇を構築していることが分かりました。

 さらに、これまでになかった発見もありました。アンコール遺跡では一般的に基壇の砂岩外装の内側で基壇を支える役目をする控積と呼ばれる構造材が存在します。通常、この控積はラテライトと呼ばれる赤褐色の石材を使用することが多く、西トップ遺跡においても南祠堂の控積はラテライトでした。ところが、北祠堂では控積がラテライトだけではなく、場所によってはレンガを使用していることが判明しました(写真2)。

 アンコール遺跡群の中でレンガを使用する事例は、アンコール時代初期の9世紀や10世紀にさかのぼることがほとんどです。残念ながら今回発見されたレンガが何世紀のものかについては、外観だけでは判断することができませんが、今後さらなる分析や調査を進めることによって解明していきたいと思います。

 

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写真1 南祠堂基壇内から発見された中央祠堂の南階段

 

 

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写真2 北祠堂下成基壇から発見されたレンガの控積

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