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西トップ遺跡通信9(2015年8月25日) [Western Prasat Top 9]

 南祠堂は解体前、大きく南側へ傾いていました。

 調査の結果、下成基壇内の基壇土が基壇の外側へ流出してしまったことが大きな要因を考えられました。

 そのため、今回の再構築にあたっては、基壇土の強化が必要とされました。

 地盤・地質の専門家の方々との詳細な調査と試験をおこない、南祠堂に最も適した基壇土を作成しました。そして基壇を安定させるために、基壇土を順番に突き固めていく「版築地業」を採用し、再構築をおこなっています。版築技法は古来から使われる技法です。

 基壇土の作成では、まず粘土塊やラテライトと呼ばれる石を粉砕しパウダー状にする作業から始まります(写真1)。

 その後、オリジナルの砂・ ラテライト・粘土・消石灰を最適配合比で混合したもの基壇土として使用します(写真2)。

 版築地業では、カンボジアでは「チューン・ドムライ(象の足の意)」と呼ばれる突き棒を使って、10㎝の厚みの基壇土を6㎝の厚さまで叩き締めていきます(写真3)。

 この作業を毎日繰り返し、つい先日。高さ1mにおよぶ下成基壇を新たな基壇土で築盛する作業が完了しました。

 地道で手間と時間のかかる作業ですが、専門家の知見と毎日汗を流して基壇土を作成した現地の作業員さんたちの努力なくしては成立しません。

 南祠堂が完成したら、基壇の中にある基壇土を直接ご覧いただくことはできませんが、私たちの日々の1層1層の積み重ねがまさに土台となって、南祠堂を支えています。

 

 

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写真1

 

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写真2

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写真3

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