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西トップ遺跡通信11(2015年9月23日) [Western Prasat Top 11]

 西トップ遺跡南祠堂の調査修復事業の締めくくりとして、竣工式典がおこなわれました。2012年より南祠堂解体修復事業を続けてまいりましたが、ここで大きな一区切りを迎えることができました(写真1)。関係者の皆さま、またご支援・ご指導頂いたすべての皆様にまず御礼申し上げます。

 式典はアンコール・トム内のテップ・プラナム寺院からお越し頂いた僧侶の方々による読経で幕を開けました(写真2)。そしてご来賓のAPSARA副総裁ロス・ボラット閣下、在カンボジア日本国大使館鴨志田参事官、APSARA遺跡保存調査管理局長リ・ヴァンナ氏、文化芸術省アンコール保存事務所所長キム・ソティン氏よりお言葉を頂戴いたしました。 また、会の最後には現場で汗水流して実際の作業を毎日続けて頂いたカンボジア人調査員と作業員の皆さんへささやかながら記念品を贈呈し、和やかな雰囲気で閉会しました。2012年の事業開始時と比べると、カンボジア人作業員の成長は目を見張るものがあります。アンコール王朝を造り上げた先人の遺伝子を受け継ぐ彼ら本来の潜在能力をうまく引き出せるよう、今後もより良い調査にしていきたいと強く思います(写真3)。

 この南祠堂の調査修復事業は、ポスト・バイヨン期(13世紀中頃~15世紀中頃)遺跡で初めての調査事例であり、思いもよらぬ遺構やかつて目にしたことのない遺物に出会うことができ、学術的に見ても貴重な発見が多くありました。一方で、当該期はアンコール王朝末期にあたり、先行研究で言われるように石材が乏しかったのか、転用石材など全体的に不揃いな石材で構成されており、解体後の再構築には困難が伴いました。

 今後は南祠堂と対称の位置にある北祠堂の調査修復に着手致します(写真4)。北祠堂は一見南祠堂と同タイプの建造物に見えますが、石材が南祠堂より小ぶりである点、また南祠堂には見られなかった偽扉の釈迦如来立像の存在など、これから調査しなければならないことが多く待ち受けています。今後も引き続き皆様からのご指導ご鞭撻を頂戴できれば幸いです。

 なお、今回の式典に関しては9月24日付朝日新聞近畿版においても取り上げて頂きました。

 

 

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写真4