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西トップ遺跡通信14(2016年6月1日) [Western Prasat Top 14]

 中央祠堂の前身遺構

 北祠堂の調査修復作業が進行中です。今回は応急的に行った修復事例紹介をしたいと思います。中央祠堂上成基壇北東隅は、20世紀初頭に西トップ遺跡を調査したフランス人研究者のマルシャルにより報告されています。彼は、中央祠堂上成基壇の内側に見えるラテライトに装飾が施されていることに注目しました。今みる中央祠堂はすべて砂岩で構築されていますが、一部石材が落下したことにより、内側のラテライトという材料でできた基壇が見えているのです。

 今回、部分的な修復に伴い、外側の砂岩を1石外したところ、このラテライトに繰形と呼ばれる装飾が施されていることが分かりました(写真1)。これは、今みる中央祠堂より古い前段階の基壇であったことが考えられます。言い換えれば、入れ子状に外側の建物の内側に古い別の建物が眠っていることが判明したのです。この内側のラテライト基壇の年代は現状ではまだ分かりませんが、今後調査を進めることによって、徐々に明らかになってくることと思います。

 

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写真1 中央祠堂上成基壇内側から発見された繰形のあるラテライト基壇