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(76)最大最小の木簡

用途に応じサイズ色々

 奈良時代の役人たちが仕事で字を書くために使った木簡。書かれている内容に目が行きがちですが、今回は木簡の大きさに注目してみましょう。

 木簡には用途に応じて色々なサイズがありました。おおざっぱにいうと、片手で持って字を書きやすい長さのものが多いと言えるでしょう。

 では、平城京で出土した木簡の中で、一番長いものと、一番短いものはどれほどのものか、皆さん想像できますか?

 最長の木簡はなんと長さ125センチ。小学一年生の身長ほどもあります。氷室のつくり方を書いた木簡で、長屋王の屋敷跡から出土しました。

 一方、最短の木簡は2・8センチ。形はちがいますが、500円硬貨の径とほぼ同じ長さです。

 実は、最短の木簡は2点あり、形はうりふたつ。平城宮の役所近くの溝でみつかりました。それぞれ、「附子(ぶし)」「細辛(さいしん)」と、なにやら謎の二文字が…。

 これは何だろうと調べてみると、平城宮の前の都・藤原宮で、附子と細辛を薬として使ったことを示す木簡が出土していることがわかりました。

 薬の名前を書いたミニ木簡。私ならすぐになくしてしまいそうですが、いったいどのように使われたのでしょうね。

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平城京で一番短い木簡(手前の2点)

(奈良文化財研究所研究員 中川あや)

(読売新聞2014年10月19日掲載)