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閉室日の過ごし方 ~キトラ古墳壁画保存管理施設の場合~

2019年1月 

 みなさんは博物館に足を運ぶ機会はありますか? 訪れる前には、アクセスや開館情報を調べるという方も多いのではないでしょうか。各館の情報を確認すると、館ごとに違いはありますが、週に一度は休館日を設けている博物館が多いと思います。私が勤務するキトラ古墳壁画保存管理施設の展示室では、毎週水曜日を閉室日としています。

 では、何のために閉室日を設けるのでしょうか? 職員の休日に充てているのでしょうか? 実は、職員の多くがこの日に出勤し、閉室日にしかできない仕事をしています。週の中でも特に忙しい日であるといえるかもしれません。

 キトラ古墳壁画保存管理施設は、キトラ古墳の壁画や出土品を保存管理・展示する施設です。キトラ古墳壁画は、7世紀末~8世紀初頭(飛鳥時代)に描かれたとみられる壁画です。元はキトラ古墳の石室内に描かれていましたが、壁画の保護のため漆喰ごと取り出され、現在は当施設の壁画保管室という特別な部屋に収蔵されています。

 当施設では、壁画を安定的に保存していくためにさまざまな取り組みを行っています。その一つが、閉室日に行う壁画の点検です。点検では、絵画の修理を行う専門の技術者を招き、壁画に異常がないかをプロの目から確認してもらっています。

 他にも、壁画の研究や状態の観察のため、定期的に科学的な調査を実施しています。また、適切な保存環境・展示環境を維持するために、保管室や展示ケースの環境を調査することもあります。これについては「なぶんけんブログ」の第159回・第160回『探検!奈文研』で詳しく紹介していますので、よろしければこちらもご覧下さい。

 第159回: https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2017/01/tanken159.html
 第160回: https://www.nabunken.go.jp/nabunkenblog/2017/02/tanken160.html

 閉室日の仕事は、壁画の点検に関わるものだけではありません。展示室の模様替えを行うこともあります。当施設では壁画の実物を見ていただくため、年に4回の壁画公開を実施しています。また、壁画非公開期間中も展示を行っており、来館者の方々にさまざまな情報を提供できるよう、展示品を変えたり、キトラ古墳に関する解説を準備したりしています。このような作業は大がかりなものになることが多く、場合によっては数日間の閉室日を設けることもあります。

 その他にも、閉室日には、広報用の写真を撮影したり、施設の点検を行ったりすることもあります。来館者の方々の目に触れることは少ないですが、閉室日のバックヤードではさまざまな仕事が行われているのです。

 キトラ古墳壁画保存管理施設では、平成31年1月19日(土)から2月17日(日)までの期間、キトラ古墳壁画の北壁(玄武・十二支)を公開します。公開は事前予約制ですが、予約に空きがある場合は当日受付も行います。ぜひ、この機会に当施設へ足を運んでみて下さい。

 キトラ古墳壁画保存管理施設ホームページ
 https://www.nabunken.go.jp/shijin/

 

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壁画保管室の様子

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壁画公開中の展示室

(飛鳥資料館アソシエイトフェロー 中田 愛乃

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