還元型硫黄化合物ガスの影響でBlack spotと呼ばれる新たな腐食生成物(矢印)が生じた文化財*
* Yanagida et al. (2024), Journal of Cultural Heritage, 68, 307-315 より転載・改変
博物館や美術館では、展示資材や建材、さらには資料そのものから放出される有害物質(有機酸や還元型硫黄化合物など)の空気汚染物質による文化財への影響が課題となっています。これらの物質は金属製文化財をはじめとするさまざまな資料の劣化を引き起こすだけでなく、施設で働く人々の健康にも関わる問題です。つまり、文化財にかかわるすべての人にとって、重大な課題なのです。
奈良文化財研究所では、こうした空気汚染物質による文化財への影響について、九州国立博物館を中心とする研究グループとともに、科学研究費助成事業(基盤研究(B))「博物館資料や包材から発生する有機酸、硫黄化合物等の放散量・影響調査と対策の検討」に参画し、博物館・美術館等における保存環境の改善に向けた研究を進めています。特に奈文研では、還元型硫黄化合物による金属製文化財の劣化メカニズムや、金属試料を用いた展示環境の評価法に関する研究に取り組んでいます。これらの成果を広く共有するため、2026年9月18日(金)、公開研究会「文化財にも人体にも安全な博物館環境をめざして」が東京文化財研究所において開催されます。
当日は、有機酸や硫黄ガスなどの空気汚染物質が文化財や人体に及ぼす影響、その対策に関する最新の研究成果が紹介される予定です。文化財の保存環境に関心をお持ちの方、いや文化財にかかわるすべての方は、ぜひご参加ください。
【日時】
2026年9月18日(金)
【開催方法】
オンライン配信
※現地会場での参加申込は定員に達したため受付を終了しております。
【詳細・申込】
下記、ウェブサイトをご覧ください。
https://www.tobunken.go.jp/ccr/pest-search/2026open-seminar/2026open-seminar.html(埋蔵文化財センター保存修復科学研究室 主任研究員 柳田 明進)
