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東院庭園周辺の樹木

 東院庭園の周辺にはたくさんの樹木が植えられていて、四季折々の姿を見ることができます。

 梅雨空の下、甘い香りを放っているのがクチナシです。冬に熟す実が口を開かないことから「クチナシ」と名付けられたそうです。実は染料としても利用されます。東院庭園の駐車場を囲む生垣として利用されています。

 初夏を思わせる鮮やかな赤い花は、ネムノキです。夜になると葉を閉じるため「ネムノキ」と名付けられたそうです。夕方開花している花は、雄しべが長く伸びたものです。

 樹皮が緑色で掌状の葉が特徴的な樹木はアオギリです。材は古来より建具、家具、楽器などに利用されてきました。黄色の小花が咲き始めていますが、咲き終わりの頃になると、花が全て落花して地面が花で覆われる様子が見られます。来月その様子をお伝えできたらと思います。

 タブノキはクスノキ科の常緑高木です。別名「イヌグス」といい、「イヌ」は「劣る」という意味があり、(「緑の柱跡」2016年5月18日参照)クスノキより材質が劣ることから別名の由来となりました。

 さて、このタブノキの木にはたくさんの鳥が集まります。なぜでしょうか?画像をご覧いただければ一目瞭然ですね。答えは果実です。鳥たちに果実を食べてもらい、対外に排出された種子が発芽して命を繋いでいるのです。鳥たちに存在を知らせるため、果柄は赤く目立った色をしているのですね。

 カエデも同様に命を繋ぐため「翼果(よくか)」という2枚の羽根のある果実をつけます。紅葉が終わり、葉が落ちる頃、熟した果実は風に乗って回転しながら遠方に運ばれていくのです。

 ぜひ間近で植物たちの知恵をご覧になってみてくださいね。

 

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クチナシ

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ネムノキ

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ネムノキの花

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アオギリ

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アオギリの花

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タブノキ

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タブノキの果実

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カエデの翼果

 

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