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日韓発掘交流に参加して

news96-3-1.jpg月城C地区の現場にて

 2025年9月1日から1017日まで、日韓発掘交流事業によって国立慶州文化遺産研究所に滞在し、発掘調査に参加しました。調査に参加した遺跡は、新羅の古墳群であるチョクセム古墳群と金尺古墳群、新羅の王宮である月城です。

 滞在期間の前半は、新羅の古墳群の調査に参加しました。チョクセム古墳群は、慶州市中心部に位置する5世紀を中心とした古墳群です。2007年から発掘調査が継続されており、なかでも44号墳はドーム状の施設で覆われ、「チョクセム遺跡発掘館」と名付けられたその内部で、発掘調査が一般に公開されながらおこなわれたことでよく知られています。今回、私が参加したのは44号墳から約350m南に位置するJ地区の調査で、墳丘がすでに失われた部分に、埋葬施設がどれほど存在しているかを調査するものでした。

 同じく、新羅古墳である金尺古墳群は慶州市内から西へ10㎞ほど離れた郊外に位置します。約50基の墳丘が知られる大規模な古墳群ですが、国立慶州文化遺産研究所による調査が2024年から始められ、このうちの1基は今後、チョクセム44号墳のようにドームで覆って墳丘と主体部を発掘調査する計画が立てられているそうです。チョクセムと金尺の両古墳群の調査に参加することで、新羅に特徴的な埋葬施設である積石木槨をこの手で検出するという貴重な経験を得ることができました。

 滞在期間の後半は、新羅の王宮である月城の調査に参加しました。現在、月城では東南側の土塁とその周辺の調査(A地区)と、丘陵上の石氷庫の南側に広がる建物群の調査(C地区)がおこなわれています。私は、C地区の調査にて、方形遺構と呼ばれている石を巡らせた遺構の構造を追究する作業に参加しました。韓国語は片言ながら、調査の進め方や堆積状況の解釈について議論しながら調査ができたことも、かけがえのない経験です。

 また、発掘調査だけでなく、研究所の皆様のご協力のもと、遺物の資料調査をさせていただけたのも本当にありがたいことでした。私は弥生・古墳時代の玉類の流通に関心を持っており、慶州の古墳から多く出土する翡翠製勾玉の生産地や流通経路をめぐって、多くの方々と交わした議論は、大変刺激になりました。

 充実した日々を過ごさせていただいたことに感謝するとともに、両研究所の交流のますますの発展を願います。   

news96-3-2.jpg               チョクセム古墳群から出土したガラス玉について議論中

                                      (都城発掘調査部 谷澤 亜里)

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