樹種同定用プレパラート作製の様子
7月18日~8月1日にかけて、立命館大学大学院文学研究科のインターンシップとして、考古学、文献史学等を専攻する院生7名を受け入れました。この取り組みは、文化財に関わる分野を専攻する学生に奈文研で実施している文化財科学分野の研究現場を経験していただき、修了後にも社会において文化財に対する適切な考え方や利活用に貢献する人材を育成することを目的としています。
今回は遺跡調査技術、環境考古学、年代学の3研究室が担当し、各分野における研究室内での作業を経験していただきました。まず、遺跡調査技術研究室では奈文研の概要を説明した後、文化財のフォトグラメトリ(対象を撮影した複数の写真から三次元モデルを構築する技術)を実習形式で学びました。環境考古学研究室では、動物遺存体の同定作業を通して文化財調査における標本の重要性を解説したのち、遺跡調査技術・環境考古学両研究室が連携して取り組むフォトグラメトリによる動物骨の三次元モデル構築の作業をおこないました。また、年代学研究室では、年輪年代学のための年輪計測の前提となる木材の細胞構造を理解すべく樹種同定をおこない、その上で年輪の画像計測に取り組みました。
受講学生からは、大学で得ることができていた知識と、実際の研究現場での違いを目の当たりにすることができ、良い経験になったという意見も聞かれました。今後もこのような取り組みを継続し、文化財に関わる人材の質的向上に協力していきたいと考えています。
(埋蔵文化財センター遺跡調査技術研究室 主任研究員 山口 欧志)
(埋蔵文化財センター環境考古学研究室 アソシエイトフェロー 坂本 匠)
(埋蔵文化財センター年代学研究室長 星野 安治)