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考古科学における教育普及-奈良学園SSH「奈良学ゼミ」をとおしてー

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【写真1】講義形式でのプログラム

 7/22(月)奈良学園中学校・高等学校のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の取り組み「奈良学ゼミ」に、奈良文化財研究所が協力し、『文化財×自然科学:奈良文化財研究所における文理融合型研究-年輪年代学・動物考古学編-』と題したプログラムを実施しました。この企画は、奈良学園近隣の大学・研究所や博物館などを生徒が訪問し、「ホンモノに触れる・体感する」、「専門家から直接講義や指導を受ける」機会を提供することで、興味をもっていることをより深く探究するきっかけをつくり、また、参加を希望する生徒を複数の学年から募集することで、異学年の生徒がともに学ぶ機会をつくるというものです。今回、奈文研では埋蔵文化財センターの年代学研究室と環境考古学研究室が担当し、14名の生徒が来所しました。

 プログラム前半では、講義形式での活動を実施し、木造文化財から過去の年代・気候・生態などを調べた成果や、中学校の社会の教科書に載っている縄文時代の復元図がどのような根拠から描かれたのかなどの話題を提供しました【写真1】。後半では生徒たちはそれぞれの研究室を訪問しました。紐付きの木簡を顕微鏡で観察して、素材や年輪の検討を実施している様子を見学したり、実際に遺跡から出土した魚の骨を見ながら、縄文時代の漁撈活動を学んだりしました【写真2】。参加してくれた生徒のみなさんは、初めて見る木の細胞や、圧倒的な量の動物骨標本に、興味津々の様子でした。奈文研では、今後もこのような企画を継続し、文化財研究の成果を教育現場へも普及していきたいと考えています。

93-4写真2.jpg                    【写真2】研究室訪問の様子

埋蔵文化財センター年代学研究室長 星野安治・環境考古学研究室長 山崎健)

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