なぶんけんブログ|奈良文化財研究所に関する様々な情報を発信します。

石神遺跡の調査(飛鳥藤原第214次調査)の現地説明会のご報告

石神遺跡は、漏刻(水時計)跡である水落遺跡の北側、飛鳥寺の北西に位置します。今回の調査区はその東南部にあたり、明治35・36年(1902・1903)に石造物(須弥山石・石人像、ともに飛鳥資料館にて展示)が出土した水田です。この水田では、これまで昭和11年(1936)、昭和56年(1981)に発掘調査がおこなわれ、石組溝や石敷、掘立柱の建物や塀などの遺構を検出しています。
このたびは、土地所有者をはじめとする地元の方々のご理解を得て、これまでの調査で未検出であった遺構の確認を目的として、水田の西半を中心に部分的な再発掘をおこないました。調査では、既知の遺構を再確認するとともに、新たに複数の遺構を検出しました。特に、石組溝と一体的に機能したと考えられる7世紀前半の区画塀を検出し、石神遺跡全体の構造や変遷を考えるうえでも、重要な手がかりを得ることができました。
これらの成果を受け、3月2日(土)に現地見学会を開催いたしました。当日は晴天に恵まれたものの、時折小雪が舞うなかで、747名の方々にお越しいただきました。当日の現地見学会資料は以下のとおりです。

発表資料はこちらです。 >>全国遺跡報告総覧

7世紀代の区画塀や石組溝はいずれも、従来の石神遺跡の範囲よりも、さらに東方へ続いていることが今回の調査でも確認でき、石神遺跡の東方には未知の重要施設が存在する可能性が高まりました。今後も石神遺跡とその東方区域における調査を継続していきますので、どうぞご期待ください。

月別 アーカイブ