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平城京左京三条一坊二坪の発掘調査(平城第650次調査)の現地見学会のご報告

2023年1月20日に現地見学会を開催し、317名の方々に調査成果をご覧いただきました。

みなさま、当日は寒い現地に足をお運びいただきありがとうございました。

発表資料はこちらです。 >>全国遺跡報告総覧

発掘担当者からのコメント:都城発掘調査部 研究員 浦 蓉子

 今回の現地見学会でみなさまにご覧いただきました左京三条一坊二坪は、平城宮の朱雀門にほど近く、平城京のメインストリートである朱雀大路に面した坪です。まさに一等地!とよべる場所ですが、これまでに坪の中心部分を広く調査する機会を得たのは今回が初めてです。

 平城宮からすぐ近く。そして平安京での役所の配置を参照すると、宮外官衙など公の使い方がなされる場所でもおかしくない。一体何がでてくるのか...。緊張感をもって調査をおこないました。

 調査の結果、掘立柱建物が1棟と柵2条、また多数の小柱穴を検出しました。調査区の東端でみつかった掘立柱建物は建物内部にも柱がある総柱建物で、床を張った建物であったとみられます。東西約4m、南北約5m、床面積はざっくり見積もって約20㎡と小型の建物で、地方の役所などでみられる倉庫と似た規模の建物といえます。

 平城宮内で見つかる建物の多くは、柱穴の平面形が隅の丸い正方形をしたものが多く、規模も大きいです。一方、今回見つかった柱穴のほとんどが平面形は円形で、規模の小さいものでした。

 一等地、宮外官衙、という想定とは、少し異なった成果となりました。しかし、想定と違う、という成果もおもしろいもので、本坪の利用を考える上での大きなヒントを得たと思っています。

 今回の現地見学会では調査中のため、北側の調査区を見ていただくことができませんでした。今後、調査が進展しましたら、またみなさまに現地を見ていただく機会をつくる予定です。坪の全体を見渡して、本坪の利用について解明を進めていきます。今後の調査の進展にご期待ください。

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