なぶんけんブログ|奈良文化財研究所に関する様々な情報を発信します。

1922-1952-2022

2022年11月

 平城宮跡の銀杏の紅葉も盛りを過ぎ、師走の足音も聞こえてきました。今年の春から、平城宮跡の史跡指定100周年と奈文研70周年のメモリアルイヤーに合わせて様々な企画やイベントを行ってきましたが、そろそろフィナーレです。

 春には、平城宮跡資料館では春期特別展として平城宮跡史跡指定100周年・奈良文化財研究所70周年記念 「未来につなぐ平城宮跡 -保存運動のあけぼの-」(4/23-6/12)を開催。平城宮跡が地元の人々を除いて一般の人には忘れられていたこと、平城宮跡の保存運動が地元の人々から始まって国を動かし、史跡指定に向けた先鞭をつけたことは実はあまり知られておらず、この展示によって初めて知ったという感想がよく聞かれました。この展覧会のスタートと同時に史跡100周年のロゴ(図1)と、 史跡指定100周年をきっかけに誕生した公式キャラクター"キュートぐみ〔宮都組〕"(図2)が発表されました。平城宮跡にまつわる個性あふれるキャラクターたちをどこかで目にされた方も多いと思います。将来、平城宮跡から新たに発見される遺物や遺構の無限の可能性を反映し、今後も少しずつキャラクターが増えていく予定です。

 秋には奈良文化財研究所70周年・平城宮跡史跡指定100周年を記念して(春とは順番が逆になっています!)、平城宮跡資料館史上、初めて2つの展覧会を同時開催しました。

 一つは「地下の正倉院展-平城木簡年代記〔クロニクル〕-」です。木簡を展示する地下の正倉院展は例年秋の恒例となっているものですが、今年は記念の年にふさわしく、平城宮跡で初めて出土した木簡から一番最近出土した木簡を網羅し、各年代の代表的な木簡を紹介しつつ、奈文研における木簡研究をたどることのできる内容としました。

 2週遅れて開幕したのが、「のこった奇跡のこした軌跡-未来につなぐ平城宮跡-」展です。内容として、春の特別展で扱った内容を引き継いだ内容となるため、春の展示名をサブタイトルとして、つながりを示しています。戦後の奈文研が中心となって行ってきた平城宮跡の発掘調査とその成果、奈文研を含む様々な機関が協同して行っている整備や活用についても展示しました。また、奈文研が発掘調査だけでなく様々な分野の研究室から成り立っている総合文化財センターとして活動していることも最後にご紹介しました。新しい調査技術や奈文研の強みともいえる「多様性」に驚かれたお客さまも多いようです。

 また今年は、展示に関するポスター・チラシといった展覧会広報にとどまらず、メモリアルイヤーに特化したリーフレットの作成・頒布、平城宮跡公式Twitterスタート、ニコニコ美術館での上記2展の展示案内及び奈文研と平城宮跡をまわる生配信(アーカイブで現在も視聴可能です!)など、新しい媒体を用いて奈文研や平城宮の広報を試みましたが、いずれも想像以上の反響をいただくことができました。メモリアルイヤーに対してメディアからの取材も大変多く、取材対応は大変でしたがうれしい悲鳴でした。

 メモリアルイヤーはもう終わってしまいますが、一過性となることなく、文化財の意義や面白さを一般の方に伝え、研究と一般の方との橋渡し役として来年以降も様々な"仕掛け"を考えていくつもりです。ご期待ください。

 

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図1 平城宮跡史跡指定100周年記念ロゴ

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図2 キュートぐみ【宮都組】の主要キャラたち

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平城宮跡資料館HP はこちら

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(企画調整部展示企画室長 岩戸 晶子)

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