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興福寺鐘楼・東金堂院の発掘調査(平城第625次調査)の現地見学会のご報告

令和2年9月28日(月)、興福寺鐘楼・東金堂院の発掘調査(平城第625次調査)の現地見学会を開催しました。

当日は606名の方にご参加いただきました。

発表資料はこちらです。 >>学術情報リポジトリ

発掘担当者からのコメント:都城発掘調査部 主任研究員 森先 一貴

 発掘調査は7月1日から開始しましたが、7月は記録的な長雨に調査日数がとれず、8月は戦後最高の猛暑にみまわれ、十分な休憩時間を確保しながらの苦難の調査となりました。一時は進捗を危ぶみましたが、なんとか9月に現地見学会を開催する運びとなりました。

 新型コロナウイルス感染症への対策を十分にとりながらの開催となりましたが、爽やかな秋晴れの一日であったこともあり、平日にもかかわらず600名を超える方々にお越しいただきました。ありがとうございました。

 今回の発掘成果を、絵図や史料と総合することで、興福寺鐘楼は裾がスカート状に広がる「袴腰」をもつ姿であったことが明らかになりました。さらに、史料によれば「袴腰付鐘楼」が天平宝字年間(757~765)にまでさかのぼる可能性が高いことから、建築史上重要な発見となりました。

 当日は、「どれが袴腰をささえた痕跡ですか?」という質問を多くいただきました。私自身も生まれてこのかた、「袴腰」という言葉をこれほど口にしたことはありません。興福寺鐘楼の発掘調査によって、古代建築の姿に多くの方が思いをはせてくださったことを、担当者として大変うれしく思います。

 これからは室内での遺物整理作業や、炭化物の年代測定、特殊な遺物の化学分析等を通じて、さらに成果を高めていきたいと思いますので、今後の成果にもぜひご期待ください。

 

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