奈良文化財研究所に関するさまざまな情報を発信します。

歴史や文化財の魅力を伝えたい!

2020年7月

考古学専門ではないからこそ、わかりやすく伝えられる

 飛鳥資料館や奈良文化材研究所といえば、考古学のイメージが強いかと思いますが、考古学以外にも様々な分野の研究者が協力して調査・研究を進めています。

 私は飛鳥資料館で学芸業務をしていますが、専攻は考古学ではなく「文化遺産マネジメント(Cultural Heritage Management)」で、イギリスの大学院で文化財と社会の関係や文化財の保存・活用手法について研究しました。飛鳥資料館で働き始めた当初は、飛鳥の歴史や専門用語、考古資料の取り扱い方などを先輩や本から学びました。奈文研に就職してから約5年、収蔵庫の整理作業や常設展示のリニューアル、解説パネルやサイン類の多言語化対応、特別展の展示主担当などをしてきました。

 学芸業務を通して考古学と関わるなかで、考古学は専門ではなかったからこそ、奈文研の調査研究の実態や研究員の研究に対する熱意など、すべてが新鮮で魅力的に感じました。そして、文化財の調査研究の現場や研究員の目線を知ると、歴史や文化財がより生き生きと親しみやすく感じられることに気がつきました。そこで今回は、考古学が専門でない私が、奈文研の様々な研究員と協力して取り組んだ仕事の舞台裏について紹介したいと思います。

 

リアルな研究現場を伝えた「骨ものがたり」展

 発掘調査の出土資料や研究成果などは、どのような「過程」を経て世に出ているのかは広く知られていません。そこで、その過程を丁寧に紹介することで、歴史や文化財に興味を持ってもらいたいという思いで2019年に企画したのが、「骨ものがたり―環境考古学研究室のお仕事」です。会場に研究室を再現し、研究員やスタッフを "展示"して、普段の作業を間近で見られるイベントなどを開催しました。来館者からは「日々活動している方々の視線を身近に感じられるいい展示だった」など、好意的な意見が多数寄せられました。

 

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骨ものがたり展のイベント「研究員を展示!」で来館者に研究員の作業について解説をしているところ

 

専門性の高い調査研究の成果をオリジナルグッズに

 専門性の高い研究成果をより広く発信するためのオリジナルグッズ製作も担当しています。グッズ製作にあたって、研究員の視点や声をグッズに盛り込むことを大切にしてきました。グッズ購入目的の来館者が増えたり、SNSでも大きな反響があったりと、グッズを媒体に研究成果を発信することへの手ごたえを感じています。現在も新たなグッズを製作中ですので、完成を楽しみにしていてくださいね!

 

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史料研究室の研究員と相談しながら「国宝木簡てぬぐい」のための撮影をしているところ

 

わかりやすいホームページへのリニューアル

 飛鳥資料館のホームページリニューアルやキトラ古墳壁画保存管理施設(キトラ古墳壁画体験館「四神の館」1階)のホームページ立ち上げも担当しました。ホームページは情報発信や組織のイメージを伝える大切な媒体です。そこで、ホームページの掲載内容を見直し、欲しい情報を見つけやすいデザインを目指しました。また、ホームページで使用する写真も、館のイメージを大切にするため、写真室のカメラマンと新撮しています。

 

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飛鳥資料館ホームページのトップページ

 

 私のような考古学専攻でない職員が奈文研で働いていることは、意外に感じられるかもしれません。しかし、専門ではないからこそ、一見難しい文化財研究の成果をわかりやすく伝えることに徹底的にこだわって仕事をしています。

 奈文研では、様々な分野で高い専門性をもつ研究員が、協力して日々の調査研究に取り組んでいます。今後も、奈文研の活動を応援していただければ幸いです。

(飛鳥資料館アソシエイトフェロー 小沼 美結

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