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オンラインデータベースの翻訳

2020年7月

 奈文研のホームページでは、『木簡庫』や『全国遺跡報告総覧』など、数多くのオンラインデータベースが公開されています。これらのデータベースの一部は日本語以外の言語にも対応しています。今回はオンラインデータベースをどのように多言語化対応させるのか見てみましょう。

 データベースは基本的に、「データ」そのもの、そのデータに対する情報である「メタデータ」、およびデータの閲覧とメタデータの検索を可能とする「ユーザーインターフェース」(以下UI)の三つから構成されています。

 まずUIです。ご存知のように、日本のウェブサイトと海外のウェブサイトではデザイン方針が異なります。例えば、検索エンジンであるYahoo!の日本版と米国版を比べてみると、その違いが一目瞭然です。すべてのウェブサイトをデザインレベルで言語文化ごとにアレンジするのは難しいのです。しかし、ウェブサイトをユーザーに親しみやすくするためには、少なくともテキストレベルで各言語のスタイルにあわせたほうがよいです。そのため、私も、奈文研が公開している『史的文字データベース連携検索システム』を英語に翻訳した時には、説明が細かく、言葉遣いも丁寧な日本語のテキストを、英語の特徴にあわせてやや口調的で簡潔な形で翻訳しました。

 次は「メタデータ」です。メタデータとは簡単に言うとデータに貼る「ラベル」のようなものです。すべてのデータに対してすべての言語でメタデータを付与すれば一番理想的ですが、この方法は大変な労力を必要とします。日本語でメタデータを付与した後、外国語で検索しても日本語のメタデータがヒットするような仕組みを作った方が効率的です。問題なのは、メタデータを翻訳する時は、異なる言語文化のユーザーが使い慣れている言葉しか使えないことです。なぜなら、使わない言葉で検索することはないからです。そのため、例えば、「太刀」(たち)も「打刀」(うちがたな)も英語でswordと翻訳し、ユーザーがswordで検索すると「太刀」と「打刀」がまとめて出てくるように工夫します。

 最後はデータそのものです。情報は正確さが命であるため、不自然な直訳を避けつつ、できるだけ原文に忠実に翻訳します。

 このように、同じデータベースの中でも、それぞれの部分の翻訳には実は異なるやり方を使うのです。

 

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史的文字データベース連携検索システムの英語版①

 

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史的文字データベース連携検索システムの英語版②

(企画調整部アソシエイトフェロー Yanase, Peter)

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