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地下の正倉院展第Ⅱ期は今週末まで

 朝晩がぐっと寒くなり、冬の訪れを感じさせる今日この頃。

 平城宮跡資料館では「地下の正倉院展 -年号と木簡-」を開催しています。

 もうお越しいただけましたか?

 展覧会も第Ⅱ期をむかえ、いま出ている木簡は今週末までの展示となります。

 今回は「年号」をテーマとし、「大宝」から「延暦」までの年号が記された木簡を展示していますが、年号だけではなく木簡に書かれた内容にもぜひご注目ください。

 たとえば、「大宝」の木簡。

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女性への紐の支給に関わる木簡(赤外線写真)


 こちらは、県犬養道代(三千代)に紐を賜ったときの文書木簡。彼女は、藤原不比等の妻となり、大宝元年に後の光明皇后を出産しています。ご存知の方も多いですよね。

 光明子については、生まれ年と崩じた年月日は明らかですが、誕生日は分かっていません。

 ですが、この木簡をもとにある推測がたてられています。これは紐の支給に関わる木簡ですが、光明子誕生による賜物の可能性が指摘されており(寺崎保広「光明皇后」佐藤信編『古代の人物2 奈良の都』清文堂、二〇一六年)、そのことを踏まえて木簡にみえる「十一月」に続く墨痕を「十七」と推測してみます。そして、誕生祝は生後7日目に行われることが多くあることから、光明子は「十一月十一日」に生まれた可能性があると指摘できるのです。

 このように1つの木簡で色々なことが推測できます。みなさんはどう読みますか?

 ぜひ、実物を展示会場でご覧ください。

 また会期中、研究員によるギャラリートークを行っています。

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 第2回目は11月1日に行いましたが、多くのお客様で展示会場が賑わいました。

 次回のギャラリートークは11月15日に開催いたします。

 研究員による生解説を聞けば、展示内容への理解も深まること間違いなしです!!

 みなさまのご来館をお待ちしています。

 【今後の予定】

 開催期間:10月12日(土)~11月24日(日)

 次回のギャラリートーク:11月15日(金)14時半~

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