なぶんけんブログ|奈良文化財研究所に関する様々な情報を発信します。

兵庫県養父市立八鹿小学校の赤米献上隊

 10月10日、兵庫県養父市八鹿(ようか)小学校の六年生児童が自分たちで育てた赤米を研究所に持ってきてくれました。

 昭和38年(1963)の平城宮跡の発掘調査で但馬国養父郡小佐地域から赤米五斗を平城宮に収めたことを示す木簡(但馬国養父郡老左郷赤米五斗 村長語部広麻呂天平勝宝七歳五月)が出土したことに因むものです。兵庫県養父郡八鹿町小佐地区では昭和55年から赤米の栽培を始め、地元の小学校の児童が赤米を育て奈良の都に献上するというイベントを平成2年から一時中断を含めて継続的に行ってきたのです。平成24年の小学校統合後は養父市立八鹿小学校が引き継ぎ、地元では田植え・稲刈り・感謝祭・わら細工づくりなど赤米づくりの体験活動が行われており、締めくくりに奈良の都に赤米を献上するというものです。

 平城宮跡資料館にバスで到着し、そこから俵を担いで資料館へ持ち込み、贈呈式を行いました。児童からは赤米1升と当時の木簡を大きく拡大したものが届けられ、役人に扮する研究員が検品の後、領収証にあたる木簡を手渡しました。養父郡出身の采女もこっそり様子を見に来ていました。馬場史料研究室長の講話の中で、長さ約28cmの出土した本物の木簡を見た児童たちは「木簡は意外と小さい」などの感想を語ってくれました。

 出土遺物に関わる地域間交流は平城宮跡の活用にヒントを与えてくれたと実感しました。

 


akagome2019_1.jpg

資料館駐車場からの赤米献上隊

akagome2019_2.jpg

赤米献上隊

akagome2019_3.jpg

資料館講堂での校長先生挨拶

akagome2019_4.jpg

天平人たち(役人と養父郡出身采女たち)

akagome2019_5.jpg

赤米荷札木簡拡大レプリカ

akagome2019_6.jpg

馬場史料研究室長の講話

akagome2019_7.jpg

養父郡からの本物の木簡の展示


<<赤米献上の様子はこちら>>



 (文化遺産部遺跡整備研究室長 内田和伸)

月別 アーカイブ