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ヒガンバナ

 平城宮跡では秋を告げる花の一つヒガンバナ(彼岸花、別名:曼殊沙華)が見頃を迎えています。

 「万葉集」では、ただ一首「壱師(いちし)」という名でのみ詠まれており、群生して咲く姿には思わず魅入ってしまいます。

 ヒガンバナは棚田の畔道に群生している光景を見ることがありますが、その理由としてあげられるのが次の二点です。

 1、地中に張られた根が土手や畔の土の流出を食い止め、固めてくれるため。

 2、球根を含め、花全体に有毒性があるため、棚田を荒らすネズミやモグラなどの被害対策のため。

 遡ること60数年前、かつては平城宮跡東側の一部は田園地でした。1952年に国の特別史跡に指定された後、本格的な発掘調査が開始されると田畑は無くなり跡地は緑化し散策道が整備されてヒガンバナも次第に減少し、消えてゆくことになります。

 現在、平城宮跡の一部で自生しているヒガンバナを見ることができますが、いにしえから継がれてきた昔の人の知恵を垣間見る思いです。

 秋の穏やかな風を感じながら、散策途中でヒガンバナを見つけてみませんか。

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ヒガンバナ(以下同)

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