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(199)「いい加減」な古代文字

最新ITで木簡解読

 漢字の試験で、トメかハネか迷い、「どちらでも良いのに......」と思ったことはありませんか。

 古代の木簡の文字は、トメやハネに限らず、「いい加減」な文字に満ちあふれています。古代人は、現代人よりも文字の「許容範囲」が広いのです。

 このおおらかさ、なんとも魅力的ですが、木簡を読む私たちにとっては大変困りものです。現代人は、古代人の文字の許容範囲を知らないからです。

 そこで、文字の「類例」を可能な限り集め、古代人の許容範囲を探る作業が必要になります。奈良文化財研究所では、集めた類例を管理し、必要な時に素早く調べるために、最新のIT(情報技術)を活用しています。

 これまでに読めた文字の「画像」をデータベースに蓄積し、これを参照しながら木簡を読む。新しく文字が読めたら、データベースに登録する。これを繰り返して、類例をどんどん増やしていくことで、「MOJIZO」という名のシステムを、最近、開発することができました。読めない文字の画像を入力すると、類例を自動的に探してくれるという大変便利なシステムで、奈文研のHPで公開しています。

 とても縁遠いようにみえる情報技術と古代文字。今や奈文研では、古代木簡解読の最強コンビとして、八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍をしています。

 

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奈文研のホームページから見ることができるMOJIZOの検索画面

(奈良文化財研究所史料研究室長 馬場基)

(読売新聞2018年8月28日掲載)

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