往時を体感 歴史公園へ
国の特別史跡である平城宮跡は、さまざまな手法で遺跡の姿を表示しています。例えば、朱雀門や東院庭園、第一次大極殿は実際の建物が復原されていますが、第二次大極殿では建物の基壇と礎石で遺構を表しています。また、内裏では、ツゲの木を柱跡に植えて丸く刈り込み、建物の柱のように表現しています。
こうした平城宮跡の整備は、1978年に作られた「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」に基づいて進められてきたものです。
2008年、平城宮跡は国営公園になりました。これに伴い、平城宮跡の整備も文化庁から国土交通省の手に移り、文化庁が新たに作った計画をもとに、国営公園として整備されることになりました。
なかでも最も大きな事業は、第一次大極殿を囲む回廊と門などの復原です。10年から奈良文化財研究所が学術的な検討を行い、写真のような施設を復原していくことになりました。現在、大極殿の南側にあった南門の復原工事が本格化してます。全体の完成まで10年以上かかる見込みですが、復原工事の様子も公開する予定です。
未来の平城宮跡は、奈良時代の復原建物が一部に建ち並び、古代の平城宮を体感できる歴史公園になっていることでしょう。
第一次大極殿院の完成予想模型
工事が行われている第一次大極殿院(今年4月)
(奈良文化財研究所遺構研究室長 箱崎和久)
(読売新聞2018年8月21日掲載)