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(197)文化財用X線CT装置

国内最強 更なる成果へ

 健康診断などで利用しているX線CT(X線コンピューター断層撮影)。文化財の調査に使われるX線CTは、なんと医療用の約10倍もの強いエネルギーを必要とします。

 X線CTを用いれば、非破壊で文化財の内部構造の3次元情報を得ることができます。考古学的な研究に有効なだけでなく、文化財の劣化状態を診断でき、遺物の保存方法の検討にも、とても重要な情報を得ることができるのです。

 奈良文化財研究所は、新庁舎の建設にともなって、文化財用高エネルギーX線CT装置を新たに導入しました。新装置は、国内の文化財用X線CT装置の中で、最大のX線エネルギーを誇ります。この装置を用いると、金属や分厚い土壌サンプルなど、X線が透過しにくい対象物の撮影が可能になります。

 奈文研には、これまでも日本全国からX線CT画像が必要な文化財の調査が依頼されてきました。近年では、銅鐸(どうたく)や銅鏡、刀剣、銭貨などの金属製品をはじめ、仏像、塑像、壁画などで成果を上げてきました。2015年4月に兵庫県南あわじ市松帆地区で大きな銅鐸の中に小さな銅鐸を入れた「入れ子」状態で見つかった松帆銅鐸も調査され、構造が判明しました。

 今後、この奈文研の新しい装置から、多くの新たな発見や研究成果が生み出されることでしょう。

 

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「入れ子」状態で見つかった松帆銅鐸のX線CT画像=奈良文化財研究所、南あわじ市教委提供

(奈良文化財研究所研究員 柳田明進)

(読売新聞2018年7月31日掲載)

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