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ひらめき☆ときめきサイエンスプログラム「奈良の都の木簡に会いに行こう!2018」の実施

 去る2018年8月21日(火)・22日(水)の両日、「奈良の都の木簡に会いに行こう!2018」(日本学術振興会ひらめき☆ときめきサイエンスプログラム。奈良文化財研究所・日本学術振興会共催、奈良県教育委員会・奈良市教育委員会後援)を実施しました。昨年多数のご応募をいただきましたので、今年は15名ずつの募集としましたが、うれしいことにこれをはるかに上回るご応募をいただきました。しかし、今年も抽選は行わず、プログラムの運営を工夫することで、なんとか最終的に計49名の小5から中3までのみなさんにご参加いただくことができました。

 9時45分の開講式のあと、まずは、「木簡に会ってみよう」として、班ごとにテーブルに用意した本物の木簡をじっくり観察しました。木簡は、参加者の名前の漢字が含まれるものを用意し、班ごとにさまざまな形・内容、及び水漬け・保存処理済みの両方の形態の木簡が見られるようにしました。 また、全ての木簡の赤外線画像を用意し、木簡の読み方とあわせて資料として配布し、実物の木簡と対比できるようにしました。

 観察と併行して、各班のテーブルを回りながら、木簡の形状・機能・分類・樹種などのほか、ゴミとして捨てられた木簡が発掘から保存・公開されるまでなど、木簡に関する基礎的な事項をモノに即して説明し、木簡に関する理解を深めました。

 次に「木簡を探してみよう」と「木簡に触れてみよう」として、平城宮跡の発掘現場より持ち帰った土を洗って木簡を探し出す作業と、収蔵庫に保管してある木簡の水替え作業を体験しました。人数の関係で、2グループに分け、午前・午後交替で両プログラムを実施しました。特に人数の多かった21日は、水洗いの作業だけでなく、洗い出した遺物の選別作業も加味しましたが、作業が細切れになってしまった点は否めませんでした。

 二つの作業の間のお昼休みには、奈良パークホテルのご協力により復元された古代食のお弁当を、木簡を使った古代人のことを考えながらいただきました。食事はまさに生きた教材です。食後には、復元の根拠になった全国各地から届けられた租税の荷札木簡について、写真で理解を深めました。

 二つの作業のあとは、「木簡を読んでみよう」として、2015年に奈文研の庁舎下の秋篠川旧流路の埋め立て土から見つかった「奈良京」と書かれた木簡の解読に挑戦しました。赤外線写真による手作りの模型を使って、実際に研究員がふだん読んでいるのと同じやり方でスケッチをとりながらの作業です。その練習として、偏や旁が同じ文字をたくさん書いたり、左半分を隠した文字を類推して読んだりするクイズも楽しみました。

 閉講式では、参加した子どもさんに「未来博士号」を差し上げ、17時に終了しました。今年は参加者が多かったため、平城宮跡資料館講堂での開催となりましたが、広い会場でゆっくり木簡に親しんでいただけたと思います。また、真夏の開催ということもあり、平城宮跡の木簡出土地見学は割愛しましたが、その分逆に作業時間を充分に確保できました(それでももっと作業時間がほしいという意見もありました)。

 昨年に引き続いての開催でしたが、リピーターも含め大勢の子どもさんと保護者の方々にご参加いただきありがとうございました。また、ご支援いただいた日本学術振興会、ご後援たまわった奈良県教育委員会、奈良市教育委員会にお礼を申し上げます。

(副所長 渡辺 晃宏)

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木簡に会ってみよう
―本物の木簡を観察して木簡に親しむ―

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木簡を探してみよう
―遺物の洗浄と分別作業を体験―

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木簡に見える食材で復元された古代食
―生きた教材―

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木簡に触れてみよう
―木簡の水替え作業を体験―

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木簡を読んでみよう
―「奈良京」と書かれた木簡の解読に挑戦―

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