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(180)木簡の国宝指定

ゴミが描き出す歴史

 時に「平城宮跡の発掘調査で最大の成果の一つ」とも言われる木簡。驚くなかれ、その木簡たち、実はほとんどがゴミなのです。

 木簡だけでなく、発掘調査で見つかる遺物の多くは、昔の人々がゴミとして捨てたもの。でも、それゆえに当時のありのままの生活を、ウソ偽りなく語ってくれます。ゴミだからこそ、今の私たちにとっては、かけがえのない宝物となるのです。

 とりわけ平城宮跡で見つかる木簡が伝える真実は、国の正史である『続日本紀』など編集を経た書物の記述に彩りを与え、時には疑問を投げかけ、より豊かな奈良時代の歴史像を描き出してくれます。今や、木簡なくして古代史は語れません。

 そんな「平城宮跡出土木簡」が、今年、なんと国宝に指定されました。木簡のもつ学術的価値と、長年にわたる平城宮跡発掘調査の意義が認められたのです。

 これを記念して、今年の奈良文化財研究所平城宮跡資料館の秋期特別展「地下の正倉院展」では、新たに国宝指定を受けた木簡たちを展示しています(14日~11月26日)。平城宮跡で最初に見つかった木簡や、パスポートとして使われた大型の木簡など、貴重な逸品が勢ぞろい。本物の木簡に会えるまたとない機会を、どうぞお見逃しなく!!

 ※本記事に掲載されている地下の正倉院展は終了しています。

 

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国宝に指定された木簡の一部

(奈良文化財研究所研究員 山本祥隆)

(読売新聞2017年10月17日掲載)