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(178)発掘調査の記録

遺構図面 3次元化

 人間は昔から地図を作ってきました。古いものでは今から約4300年前に中東で作られた地図が残っています。現代では月や火星、そして宇宙へと地図作りは広がっています。

 もちろん、地球の地図作りも続いていて、様々な目的で利用できるようになってきました。インターネットで検索すれば、地形図と航空写真を重ねた地図や、誰でも自由に利用ができる「オープンストリートマップ」など、色々な種類の地図を見ることができます。

 地図作りは遺跡の発掘調査でも、とても重要です。発掘調査では20分の1で描く遺構図面が基本で、遺構を見ながら、大きさを測って手描きで図にします。

 しかし最近は、遺跡を3次元デジタル情報で記録する簡易な方法が開発され、利用が広まっています。この方法は、対象をデジタルカメラで複数の角度から撮影し、その画像をパソコンで解析するだけで、3次元モデルと地図を作成できるというものです。この図は、平城京の朱雀大路西側溝で検出した遺物の出土状況と、遺物取り上げ後の遺構の3次元モデルです。

 こうした3次元モデルによって、発掘された遺跡や、開発で消えゆく遺跡を、より本物に近い姿で、未来の人たちに残すことができるようになりました。

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朱雀大路西側溝の遺物や遺構を表した3次元モデル

(奈良文化財研究所アソシエイトフェロー 山口欧志)

(読売新聞2017年9月19日掲載)