去る2017年8月22日(火)・23日(水)の両日、「奈良の都の木簡に会いに行こう!」(日本学術振興会ひらめき☆ときめきサイエンスプログラム。奈良文化財研究所・日本学術振興会共催、奈良県教育委員会・奈良市教育委員会後援)を実施しました。10名ずつの募集に予想をはるかに上回るご応募がありましたが、抽選は行わず、プログラムの運営を工夫することで、最終的に計37名の小5から中2までのみなさんにご参加いただきました。
9時45分の開講式のあと、まずは、「木簡に会ってみよう」として、本物の木簡をじかに見ることで、1200年以上の前の木簡が 今とほとんど変わらない、しかも比較的読みやすい漢字で書かれていることを実感してもらいました。国宝に指定されることになった木簡も、元はといえば古代の人たちが捨てたゴミであること、日本の木簡は地下水に守られて湿った状態で今に伝わっていること、木簡を使ったのは紙が貴重だったからではなく、むしろ紙と木を使い分けていたのだということを、木の特徴と木簡の用途と結びつけて説明しました。
木簡に親しみをもってもらえたところで、次に「木簡を探してみよう」と「木簡に触れてみよう」として、現場から持ち帰った土から木簡を探し出す作業と、収蔵庫に保管してある木簡の水替え作業を行いました。木簡を読む前と読んだあとの作業を体験することで、木簡がどれだけ多くの労力に支えられて今あるのかということを知ってもらえたようです。
二つの作業の合間のお昼の時間には、奈良パークホテルのご協力により、復元された古代食を食べていただきました。その根拠になった全国各地から届けられた食材に関わる木簡についても写真で説明しました。
二つの作業のあとは、「木簡を読んでみよう」として、1961年に平城宮跡で最初に見つかった木簡、いわゆる
最後には、「平城宮に出かけよう」として、この平城宮跡最初の木簡が見つかった第一次大極殿院北側の大膳職推定地のゴミ穴の跡をみんなで訪ねました。1200前にタイムスリップした感覚を味わってもらえたのではないかと思います。
閉講式では、参加の子どもさん全員に「未来博士号」を差し上げ、17時に終了しました。
今回初めての試みでしたが、夏休みの1日を木簡たちとともに過ごすことで、一つでも何かの新鮮な感動を味わっていただけたなら、主催者としてこんなにうれしいことはありません。
(副所長 渡辺 晃宏)
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初めて木簡を見た感想どんなでしたか? |
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どんな木簡(削屑)が見つかったかな? |
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古代食のお味はいかがでしたか? |
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水に漬いた木簡をやさしく丁寧に取り出せました |
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さあいよいよ木簡解読に挑戦! |
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平城宮跡最初の木簡は1961年にここで見つかりました |