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(174)宮跡の整備方法

 地下遺構 盛り土で保護

 今、平城宮跡(奈良市)の第一次大極殿の前では、発掘調査が行われており、また大きな仮設建物が建っています。いよいよ第一次大極殿院の復元工事が始まるのです。

 第一次大極殿院とは、大極殿をとりまく建物群で、南門、回廊、2棟の楼閣からなります。それらを順次、原位置(もと建っていた場所)に原寸大で復元していきます。建物全体を復元した朱雀門や第一次大極殿、基壇のみを復元した第二次大極殿なども、みな正確に原位置に建っています。では、地下にある遺構はどうしていると思いますか?

 平城宮跡の整備方針には、「地下遺構を傷つけず、これを守るような整備手法や施設配置の工夫を行うこと」が掲げられています。そこで、建物を復元するエリアでは、一部を除いて、地下遺構の保護のため、遺構面の上に0・6~1メートルほど盛り土をしています。盛り土の厚さに幅があるのは、場所ごとに遺構の保存状況や地盤の強度が異なるからです。遺構の保護を優先して、地下の基礎や構造に現代的な工法を採用する場合もあります。

 地下遺構を保護しつつ、往時の様子を体感できる“遺跡博物館”平城宮跡の整備は、こうして進められているのです。

 

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復元工事が始まる前の第一次大極殿院(小型無人機で撮影)

(奈良文化財研究所アソシエイトフェロー 坪井久子)

(読売新聞2017年6月20日掲載)