奈良文化財研究所に関するさまざまな情報を発信します。

SMAP

2016年12月 

 Site(遺跡) 奈文研が恒常的に調査研究をしている遺跡は、平城宮・京跡と藤原宮跡、それに飛鳥の諸遺跡です。いずれも飛鳥時代から奈良時代の遺跡で、文献記録が残されています。発掘成果と文献記録は車の両輪。互いに補い合って、さまざまな画期的成果をあげてきました。明日香村の飛鳥池遺跡の調査では富本銭が出土し、検討の結果、それまで疑問視されていた『日本書紀』の銅銭に関する記事が正しいものだったことが確かめられました。藤原宮で『続日本紀』に記された大宝元年(701)元日の盛大な儀式で立てられた幢幡の跡を掘り出したのは、記憶に新しいところです。歴史考古学の醍醐味と言えるでしょう。みなさんも、そうした目で遺跡の調査成果にふれてみてはいかがでしょうか。

 また、これらの遺跡では、のどかな風景にまだまだ接することができます。春は萌えいずる若草ナギの木。田んぼで稲がきれいな穂をつける藤原宮の秋。遺跡の楽しみ方はさまざまで、「なぶんけんブログ」でも逐次紹介しています。

 Members(人々) 奈文研には、いろいろな分野の専門家が揃っています。時代の流れとともに、奈文研に求められることも変化し、さまざまな分野の研究者が増えてきました。遺跡の整備や文化的景観は、創立時にはなかった分野です。考古学でも新しい研究が進んでいます。2年前に始まった文化財防災ネットワーク推進事業は、時代の要請を感じさせます。

 いろいろなメディアで、奈文研の研究員が紹介されているのをご覧になったことがあるかと思います。みんな個性的で、親しみやすい人々と感じてもらえたでしょう。そうした面からも、奈文研を身近に感じていただければ幸いです。

 Archives(保存記録) 奈文研は今年で創立64周年です。その間の資料の蓄積は、膨大なものがあります。30年前、私がまだ初々しい新人だった頃、所長から「お前たちは宝の山の中居る。やろうと思えば何でもできる」と言われました。奈文研が保管している遺構の記録や遺物は、とても貴重なものです。また一方では、情報の蓄積も増えています。全国各地で、遺跡の発掘調査報告書が長年にわたり多数刊行されています。奈文研はその大多数を所蔵しており、その数は10万冊以上にのぼります。

 Publish(公開) 奈文研のArchivesは、単に保存するだけでは十分ではありません。みなさんにも利用してもらうことによって、真の価値を発揮できます。奈文研の刊行物は、ホームページの「奈良文化財研究所学術情報リポジトリ」でご覧いただけます。「全国遺跡報告総覧」は、全国の発掘調査報告書を順次電子化し、ホームページで公開しているもので、奈文研ならではのものです。まだ全10万冊の一部ですが、今後も充実させていく予定です。他にも様々なデータベースを公開しており、写しんごとに詳細な情報を得ることもできます。もちろん調査研究の成果についても、現地説明会や各資料館などで、わかりやすい紹介を続けていきます。

 以上、奈文研の活動や役割について、あらためて紹介してみました。奈文研のSMAPは、今後とも発展していきますので、これからもご理解、ご協力をお願いします。

 

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飛鳥池遺跡出土の富本銭とその鋳型

 

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大極殿

 

(都城発掘調査部長 玉田芳英)

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