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(151)明治時代の小学校(上)

教室木札 最新の木簡

 奈文研が研究しているのは、古代のことばかりではありません。今日は、明治時代の学校のお話です。

 奈文研が調査した遺跡の一つに、名勝・大乗院庭園があります。立派な池があり、日本庭園の歴史を考えるうえで、とても重要な遺跡です。室町時代には、銀閣寺の庭を造ったことでも知られる善阿弥(ぜんあみ)が、手を加えたとも言われています。そもそも、大乗院は興福寺の子院で、江戸時代までは一般の人々は入ることができない立派なお屋敷でした。

 しかし、明治時代になると、このお屋敷は一般に開放され、ついには小学校として使われることになりました。今の奈良市立飛鳥小学校の前身です。大乗院庭園の発掘では、明治時代の遺物がたくさん出土しました。小学校に関係するものもたくさんあります。「○年○組」と書かれた木札は、教室に掲げられていたのでしょうか。奈文研がもつ木簡のなかで、もっとも新しい木簡です。

 池からは、古い瓦を丸く加工した蹴り石のようなおもちゃも見つかりました。ご丁寧に名前が書いてあります。学校におもちゃを持っていった子は、「ビンチャン」という子のようですよ。明治時代、大乗院の庭園は、子供達の良い遊び場だったようです。

(151)明治時代の小学校(上).jpg

大乗院庭園から出土した、明治時代の小学校に関係する遺物。左下は「ビンチャン」の名前入りの蹴り石

(奈良文化財研究所主任研究員 神野恵)

(読売新聞2016年9月11日掲載)

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