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(133)古代の地盤改良

穴掘り 土砂で固める

 皆さんが生活する家。家の下の地盤が軟らかいと、家の重さを支え切れずに家が沈み込んで傾くおそれがあります。

 そこで、しっかりとした地盤につくりかえる地盤改良の工事をおこなう場合があります。この地盤改良工事、実は千数百年前からおこなわれていました。

 特に、瓦葺(ぶ)き屋根の建物は、草葺きや板葺きの屋根よりもはるかに重いため、軟らかい土地に建てる場合、念入りな地盤改良が必要でした。土台となる部分をプール状に掘り下げて、そこに土と砂を交互に入れて、版築(はんちく)の工法でつき固めました。この地盤改良は掘込地業(ほりこみじぎょう)と呼ばれ、日本で最も古い仏教寺院である飛鳥寺(明日香村)の造営時に採用され、その後、宮殿の建設にも用いられました。

 飛鳥寺の造営は、朝鮮半島の技術者たちを招いて588年に始まります。飛鳥寺より古い朝鮮半島の寺院にも掘込地業がみられることから、朝鮮半島からきた技術者が、日本に地盤改良の技術を伝えたのでしょう。

 何気なく立っているように見える文化財の建造物ですが、見えない地下の部分にも建物を支える知恵と工夫がこらされているのです。

 

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吉備池廃寺金堂(桜井市)の掘込地業

(奈良文化財研究所主任研究員 青木敬)

(読売新聞2016年2月28日掲載)