なぶんけんブログ|奈良文化財研究所に関する様々な情報を発信します。

(129)文化財とデータベース

用語統一の必要性

 奈文研は、文化財に関する26種類のデータベースをホームページ上で公開しています。たとえば「木簡データベース」は、平城京や藤原京から出土した木簡を中心に、全国各地から出土した5万点近い木簡の情報を集めて分類したものです。木簡に書かれた漢字の一部や遺跡名などを入力して検索すると、瞬時に5万点の木簡の中から必要な情報を見つけ出すことができます。

 膨大な情報から手作業で必要な情報を集めるのは時間や労力がかかって大変ですよね。今や文化財の調査、研究にデータベースは欠かせぬ存在になっています。

 しかし、文化財の情報をデータベース化するのは、なかなか大変です。例えば石切場を調べようとすると、石切り場、石切丁場、採石場など、意味は同じでも異なる用語が使われているので、1回で検索することができません。そのため用語の統一や類語の整理などが必要になるなど、データベース化に向けた課題も数多くあります。

 文化財に関わる考古学や歴史学は、膨大な情報や研究成果を積み重ねていく蓄積型の学問です。これからも文化財の調査研究にデータベースの重要性はさらに高まっていくことでしょう。

 

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文化財に関するデータベースのサーバ群

(奈良文化財研究所研究員 高田祐一)

(読売新聞2016年1月24日掲載)

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