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(128)元旦の飾り付け

七つの巨大旗 等間隔に

 門松・鏡餅・しめ縄…。新年を迎える正月には、いろんな飾り付けをしますね。それは奈良時代の平城宮も同じでした。

 元日の朝、平城宮に勤務する役人たちは、大極殿の前の広場に集まって、大極殿の天皇に新年の挨拶(あいさつ)をしました。これを元日朝賀といい、大極殿で毎年行われる重要な儀式でした。

 この元日朝賀の飾り付けが平安時代の法典「延喜式」に記されています。それによると、大極殿の前面に7本の幢旗(どうき)を立てました。中央に3本足のカラスをかたどった銅製の幢(旗)を立て、その左右に日・月像の幢を、さらにその脇に朱雀・青龍と白虎・玄武の四神旗を立てました。それぞれの幢旗の間隔は約6メートル(2丈)と定められています。

 また室町時代の「文安御即位調度図(ぶんあんごそくいちょうどず)」に描かれた幢旗の高さは、なんと約9メートル(3丈)もありました。

 こうした幢旗の痕跡は奈良時代後半の平城宮第二次大極殿院と西宮(第一次大極殿院地区)、長岡宮大極殿院の発掘調査で見つかっています。いずれも平面楕円形をした巨大な柱穴が等間隔に七つ並んだ遺構です。その特徴は、文献史料の記録や絵図に描かれた幢旗の配置にそっくりです。

 平城宮の一年は、元旦の壮麗な幢旗の飾り付けとともに、始まるのです。

 

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平城宮西宮(奈良時代後半)の幢旗遺構(幢旗は原寸の3分の1の模型)

(奈良文化財研究所研究員 海野聡)

(読売新聞2016年1月17日掲載)