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(124)古代の弁当箱?

ヒノキ製 水も運べる

 最近、お弁当の具材でキャラクターを描く"キャラ弁"など工夫を凝らしたお弁当が増えていますね。さらなるこだわりを求める人々は、"曲物(まげもの)"、"曲げわっぱ"と呼ばれる木のお弁当箱を使うそうです。

 実は、この曲物は平城京でも数多く見つかっています。曲物とは、ヒノキなどの薄い板を輪っかにして、重なった部分をサクラの樹皮で縫い合わせたものに、円形の底板を木釘(くぎ)や竹釘で付けた容器のことです。昔の絵図を見ますと、ご飯や野菜などの食品や水などの入れ物として使われていたようです。木の薄い板でできていますが、液体を入れている事からも、かなりの強度があったことがわかります。

 ただ残念なことに、木製品は土の中では腐りやすく、完全な形で出土する曲物はほとんどありません。土の中から掘り上げられたときには、ヒノキのいい香りもなくなっています。

 しかし、中には「麻呂」、「細万呂」と曲物の所有者らしき名前が書かれたものもあります。平城宮では役人たちに給食を支給していましたが、もしかすると曲物に食べ物をつめて、お弁当箱のように使っていた人たちがいたのかもしれませんね。

 

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(奈良文化財研究所アソシエイトフェロー 浦蓉子) ◇イラスト・岡本友紀

(読売新聞2015年11月22日掲載)