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(116)木の種類の調べ方

細胞観察し、特徴比べる

 木材は、私たちにとってとても身近な資源です。そのため、古くからさまざまな用途に木材が利用されてきました。平城京からも奈良時代の木製品や部材がたくさん出土しています。

 では、発掘された木製遺物の木の種類は、どうやって調べるのでしょうか。

 木にはいろいろな種類がありますが、種類によって木材の細胞の構造が異なります。そこで、カミソリを使って、木材から透けるくらいの薄さの切片を切り取り、顕微鏡で細胞の構造を観察して、種類を調べるのです。

 写真の右側は針葉樹で、左側は広葉樹です。大きな違いとして針葉樹には道管がなく、広葉樹には大きな道管があることがわかりますね。さらに細胞構造の特徴を、種類の明らかな現生標本と比較することで、木材の種類を識別することができるのです。このような方法を、樹種同定と言います。

 木材は種類によって、堅い、粘りがある、加工しやすい、木目が美しいなどの特徴の違いがあり、古くから適材適所に樹種を選択して利用されてきました。どのような部材に、どのような種類の木が使用されているのか、それを樹種同定で調べることは、木材利用の歴史の解明にもつながるのです。

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顕微鏡で観察した針葉樹(右)と広葉樹(左)の顕微鏡写真

(奈良文化財研究所研究員 星野安治)

(読売新聞2015年9月6日掲載)