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(114)すごろく土器が見つかった

役人の遊び 朝鮮伝来か

 平城宮・京からはコマ、さいころ、木とんぼなど、古代の人々が遊びに使ったさまざまな道具が出土しています。最近、また新たな発見がありました。古代の「すごろく」盤の発見です。

 それは、平城京から出土した土器の内面に、点を並べて円を描き、それを6分割するラインを点と線で表現したものです。分割線の一端には「出」という漢字が刻まれていました。

 この不思議な記号。その謎を解くヒントは朝鮮半島にありました。現代の韓国では、ユンノリという名の「すごろく」遊びが楽しまれています。そのユンノリの盤面が、土器に刻まれた記号とよく似ているのです。

 ユンノリは、断面が「かまぼこ」形をした4本の棒を投げ、その表と裏の組み合わせで駒の進む数を決めます。実は、この4本の棒の組み合わせに関連する言葉が『万葉集』に見え、奈良時代にユンノリに似た遊びがあったのではないかと推測されていました。

 土器に刻まれた謎の記号こそ、そのユンノリに似た遊びの盤面に違いない、と考えています。「出」の字はすごろくの出発または出口を意味したのでしょう。

 奈良時代の役人たちが、仕事の息抜きに「すごろく」で遊んでいたのでは…。その姿を想像するだけで楽しくなりますね。

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平城京跡で出土した「すごろく土器」

(奈良文化財研究所研究員 小田裕樹)

(読売新聞2015年8月23日掲載)

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