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(108)古代の学校行事

お供え 儒教文化体感

 運動会に文化祭、遠足に修学旅行。現代の学校には、さまざまな行事があります。では、平城京の時代は、どうだったのでしょうか。

 平城京には、「大学」がありました。勉強の中心は、孔子の教えである「儒教」です。

 この大学での代表的な行事といえば、釈奠(せきてん)。孔子とその弟子を祭る中国起源の儀式で、2月と8月に行われました。「釈」も「奠」も、食べ物や飲み物をお供えする、という意味です。

 お供え物は、干しナツメやきび餅など、およそ30種類。中でも重要なのは、内臓付きの生肉です。本場中国では牛・羊・豚が供えられました。日本では、ちょっと変更されて、シカとイノシシの肉が供えられました。

 平城宮からは、「鹿宍在五蔵(=内臓付きシカ肉)」と書かれた付札木簡が見つかっています。釈奠に使用したシカ肉なのでしょう。

 記録によれば、わが国最初の釈奠は701年に行われました。その後、遣唐使の持ち帰った情報などをもとに、中国に倣った儀式作法が整えられていきました。

 学生にとって釈奠は、平城京に居ながら本場中国の儒教文化を体感できる貴重な機会でした。盛大な行事は、学生たちの向学心を奮い立たせたことでしょう。

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平城宮跡から出土した「鹿宍在五蔵」と書かれた付札木簡

(奈良文化財研究所研究員 桑田訓也)

(読売新聞2015年6月21日掲載)

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