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(94)遺跡の年代決定法

難解なパズル 四苦八苦

 「奈良時代の遺跡です」「3時期の建物跡が見つかりました」……。さて、発掘調査では遺跡の年代をどのように決めているのでしょうか。

 まず、遺跡には何重もの土の層、「土層」があります。自然に堆積した土層では、下の層ほど古いという地層の法則があります。

 次に、遺構の重複関係に注目します。柱穴が溝を壊して掘られていると、溝が古く柱穴が新しいとわかります。さらに、建物の遺構ならば、どれが同じ建物の柱穴であるのか、柱穴の組み合わせを考えます。このようにして遺構の先後関係が決まります。

 そしていよいよ、遺構の実年代を推定する作業に入ります。それぞれの遺構から出土した土器や瓦の年代が、遺構の先後関係と矛盾しないか、検討をくり返しながら、年代決定の精度を高めていくのです。出土遺物の中に年代が書かれた木簡があれば、かなり正確に年代を絞りこむことができます。また、出土木材の年輪年代法や、炭素年代測定法など、自然科学的な年代測定結果を利用できる場合もあります。

 このように遺構の年代決定には、たくさんのヒントがあるようですが、実際にはつじつまが合わず四苦八苦……。調査員は発掘現場で、この複雑で難解なパズルにいつも悩まされているのです。

 

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(奈良文化財研究所研究員 番光)◇イラスト・岡本友紀

(読売新聞2015年3月8日掲載)