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「文化的景観学」検討会の開催

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「文化的景観」はまだまだ若い概念であり、研究・実践両面において十分な蓄積があるとはいえません。そのため、各地の実践(取組)を支えられる考え方の基盤(「学」)が求められています。

 

そこで、景観研究室では、分野を横断して文化的景観の論じる視点を体系化させ、「文化的景観学」として理解することを目的に、9名の外部有識者(研究者、行政担当者)とともに、継続的に「「文化的景観学」検討会」を開催しています。これまで、平成24年度〜平成26年度に、計13回(公開ワークショップを含む)の会合を開催してきました。

 

その結果、「価値」×「計画」を包括的に捉えることが「文化的景観学」の特質であることなど、さまざまなことがわかってきました。それは、従来の学問体系では捉えきれないものといえます。

 

さて、今年度の検討会では、過年度までの議論を通じて組み立ててきた「学」の枠組みを、より多くの事例を通じて深めていくことを目指しています。

5月10日に実施した第14回検討会では、岐阜市教育委員会社会教育課の高木晃さんにゲストスピーカーとしてお出でいただき、平成26年3月18日に国の重要文化的景観に選定された「長良川中流域における岐阜の文化的景観」の価値、また取組の現状と課題についてお話いただきました。

都市部における文化的景観は、これまでに宇治市(「宇治の文化的景観」)、金沢市(「金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化」)などが国の重要文化的景観に選定されており、岐阜は3地区目の選定といえます。

宇治・金沢で取り組まれている担当者の方も「文化的景観学」検討会メンバーであることから、都市部における景観/文化的景観形成の考え方、あるいは取組実施のあり方などについて、議論が盛り上がりました。

また、河川というつながりでは、四万十川流域との比較という視点での議論もなされました(四万十市で取り組まれている担当者の方も検討会メンバーです)。

 

一連の議論の成果も踏まえて、今年度後半以降には、ブックレットをシリーズで刊行し、継続的に成果を発信していく予定です。

 

なお、次回の検討会は、8月に岐阜市において開催し、現地調査を交えながら議論を深めていく予定です。

「文化的景観学」検討会の取組にご期待ください。

 

[参考] 

奈文研ニュース54「「文化的景観学」検討会・公開ワークショップの開催」

http://repository.nabunken.go.jp/dspace/handle/11177/2299