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(92)日本の都と新羅の都

「リフォーム」か「新築」か

 みなさんは「都城」というと、どのようなかたちを想像しますか。藤原京、平城京、平安京、日本の古代の都はどれも四角いかたちをしています。

 このようなかたちは中国の都をまねたもので、日本だけでなく中国周辺の国々に広く採用されました。これはかたちだけでなく、律令という法律にもとづく中国式の国家体制が導入されたことを意味します。

 お隣の新羅も当然、日本と同じ四角い都城をつくったはずだと考えられてきました。ところが都の置かれた韓国、慶州で長年すすめられている発掘調査によって、そうではなかった可能性が浮上してきています。まだ調査を続ける必要がありますが、少なくとも何度かにわたる拡張によって、最終的な都のかたちが不定形であったことは確かなようです。

 なぜ新羅は四角いかたちにこだわらなかったのでしょうか。中国式の都城を造るためには広大な敷地が必要です。土地を確保するためには日本のように遷都してしまうのが一番簡単ですが、新羅は建国から滅亡まで千年もの間、都を慶州に置き続けたため、変則的なかたちにせざるをえなかったのかもしれません。なんだか住み慣れた家をリフォームするか、郊外に新築するのか、頭を悩ませるのと似ているような気もしませんか。

 

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(奈良文化財研究所研究員 諫早直人)

(読売新聞2015年2月22日掲載)