奈良文化財研究所に関するさまざまな情報を発信します。

(61)大極殿のあしもと

基壇内部に免震装置

 平城宮にそびえ立つ第一次大極殿、この連載にもなんども登場しおなじみですよね。その復元にあたっては、発掘調査の成果や、現存する古代の建築、さらには歴史資料などに基づいて、研究員が議論を積み重ね、古代の姿を描くことができました。

 しかし、実際に建物として復元するためには、もう一つの大きなハードルがありました。それは現代の建築物として、建築基準法と呼ばれる法律に安全面で適合させることでした。

 第一次大極殿をさかのぼること12年前に復元された朱雀門でも、同じ問題に直面しました。この時は、もし朱雀門が現代まで立ち続けていたと仮定したときに、後世になされたであろう構造補強をおこなうとともに、小屋裏などの見えない部分に、金属の板やボルトなどを入れることで解決しました。

 一方、第一次大極殿では、古代建築の構造をほとんどそのまま再現することができました。どうしたと思いますか?

 実は、高い基壇の内部に、54基にのぼる巨大な免震装置を設置して、建物に伝わる地震の揺れを軽減させることにしたのです。それは建物を補強するという発想からの一大転換でした。

 今や平城宮のシンボルとなった第一次大極殿。奈良時代の建築を、現代の最先端の技術が、見えないところで支えています。

 

(61)大極殿のあしもと.jpg

(奈良文化財研究所研究員 鈴木智大)◇イラスト・岡本友紀

(読売新聞2014年6月29日掲載)