古代のスーパーマーケット 暮らし支える国営市
「平城京スーパーマーケット。営業時間は正午から日没まで。取り扱い商品は食料品に文房具、薬となんでもあるよ・・・」
奈良の都・平城京にも市場がありました。場所は今の奈良市東九条町・杏(からもも)町付近と、近鉄九条駅の東方にあり、それぞれ東市、西市と呼ばれていました。
これらの市場は国営で規模も大きく、5万とも10万ともいわれる平城京の住人の需要を支えていました。
どんなものが売られていたのか、なかなかわからないのですが、後の時代の都・平安京の東西市の記録が残っているので、それをちょっと見てみましょう。
まず、米、麦、油、塩、海藻、魚といった食料品。それから、繊維製品、衣類、食器、文房具、薬・・・。日用品を一通りそろえられますね。それから、えっ! 大刀に弓、馬に乗るためのクラなんかも売っていたんですか。きっと平城京でもこのように多彩な物品が売られていたことでしょう。
買い物客が集まる広場では、みせしめの処刑なんかも行われたようです。様々な役割を果たした市。物の売買にとどまらない、文字通りスーパーなマーケットだったんですね。
平城京の市の想像図
(奈良文化財研究所研究員 中川あや)
(読売新聞2014年1月5日掲載)