税の公平性を図る
みなさんの家の台所にある計量カップ。お米を炊く時や料理の時に、なくてはならない道具ですね。
奈良時代にも同じような計量カップがありました。それは下の写真のようなコップ形をした須恵器です。底に低い台が付いたものが多く、墨で「二合半」や「四合」と、土器の容量を書いたものがあります。
現代の1合は180ミリ・リットルですが、古代の1合はどれくらいだったのでしょうか。容量の書かれた土器に、実際に米を入れて量ってみると、1合が80ミリ・リットルほどであったことがわかります。今と比べると、ずいぶん少量ですね。
702年、長さと容積をはかる国の基準が定められました。当時の税金は、各地の特産品を納めることになっており、品物ごとに納税量が細かく決められていました。その税負担が不公平にならないように、全国統一の計量基準を定めたのです。遺跡から出土する計量カップは、この基準で作られています。
ではこの須恵器の計量カップで、一体何を量ったのでしょうか。米や麦などの穀物? お酒や油などの液体? それとも塩などの調味料? 可能性は様々ですが、この便利な計量カップは、平城京の市場や役所、貴族の邸宅などで、大活躍だったに違いありません。
容量を記したカップ形の須恵器
(奈良文化財研究所研究員 若杉智宏)
(読売新聞2013年11月10日掲載)