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(30)古代の計量カップ

税の公平性を図る

 みなさんの家の台所にある計量カップ。お米を炊く時や料理の時に、なくてはならない道具ですね。

 奈良時代にも同じような計量カップがありました。それは下の写真のようなコップ形をした須恵器です。底に低い台が付いたものが多く、墨で「二合半」や「四合」と、土器の容量を書いたものがあります。

 現代の1合は180ミリ・リットルですが、古代の1合はどれくらいだったのでしょうか。容量の書かれた土器に、実際に米を入れて量ってみると、1合が80ミリ・リットルほどであったことがわかります。今と比べると、ずいぶん少量ですね。

 702年、長さと容積をはかる国の基準が定められました。当時の税金は、各地の特産品を納めることになっており、品物ごとに納税量が細かく決められていました。その税負担が不公平にならないように、全国統一の計量基準を定めたのです。遺跡から出土する計量カップは、この基準で作られています。

 ではこの須恵器の計量カップで、一体何を量ったのでしょうか。米や麦などの穀物? お酒や油などの液体? それとも塩などの調味料? 可能性は様々ですが、この便利な計量カップは、平城京の市場や役所、貴族の邸宅などで、大活躍だったに違いありません。

 

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容量を記したカップ形の須恵器

(奈良文化財研究所研究員 若杉智宏)

(読売新聞2013年11月10日掲載)