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(22)年輪から知る年代と気候

四季が生む"物差し"

 木の切り株に見えるバウムクーヘンのようなしま模様――。そう、年輪のことは皆さんよく知っていますよね。奈文研には、年輪を調べる研究室があります。文化財を扱う研究所なのに、不思議だと思いませんか?

 それは、年輪を調べることで、その木が生えていた時代の気候変動や、木が伐採された年代を知ることができ、遺跡の研究に生かせるからです。この研究分野を、「年輪年代学」と言います。

 木の年輪は1年に1層ずつ増え、気候によって幅が広くなったり狭くなったりします。例えば、しばしば大飢饉(ききん)があった江戸時代。飢饉の年は気温が低いため木の成長が悪く、年輪の幅も狭いことがわかっています。

 こうした年輪幅の変動を、現在からさかのぼって古い時代までつなぎ合わせることで、年代を測る“物差し”ができます。この物差しで文化財に使われている木の年輪を調べると、1年単位で木の伐採年がわかるのです。年輪年代法は、いろいろな年代測定法の中で最も精度の高いものです。

 四季の変化に恵まれ、様々な木の文化を育んできた日本では、年輪もまた、文化財の調査・研究に役立つ重要な役割を担っているのです。

 

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木の年輪(上)と、幅の変化を測定したグラフ

(奈良文化財研究所研究員 星野安治)

(読売新聞2013年9月15日掲載)

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