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復興調査への支援(福島県南相馬市東町遺跡・上渋佐原田遺跡 その7)

2014年6月16日~21日の支援状況

南相馬市での復興調査(東町遺跡・上渋佐原田遺跡)への支援が始まって1月半が過ぎました。例年より早く梅雨入りした東北地方南部でしたが、今週は梅雨の中休みということで大きく天気が崩れることはありませんでした。

一時は遅れ気味と思われた縄文時代中期・古代の集落遺跡である東町遺跡の調査も、現在は順調です。立派な複式炉を備えた縄文時代中期の竪穴建物が建ちならぶ縄文集落の姿が、くっきりと浮かびあがってきました。奈文研職員は引き続き複式炉の実測と断面調査に専従しましたが、主だった竪穴建物の調査は着実に終了に近づいていて、現在は周辺の土坑群や、部分的に確認できる竪穴建物の調査へと移っています。

平安時代の集落遺跡である上渋佐原田遺跡は、拡張区についても調査が進み、検出した竪穴建物やそれに関わる溝・土坑の最終確認、図面作成に追われる日々でしたが、その作業もようやく終わりが見えてきました。いよいよ来週からは、未着手であった隣接区で今回最後の調査が本格化することになります。

調査の進展を受け、6月21日(土)の10時から3時まで両遺跡の現地公開がおこなわれました。発掘調査を普段どおりにおこないながら、見学者に南相馬市の職員が遺跡の解説をするというスタイルの公開事業です。市街地にある東町遺跡ではなく海側に離れた上渋佐原田遺跡にいると、周囲の静けさもあって、どれほどの方が来てくれるのか少し不安でしたが、蓋を開けてみれば午前中だけで予想来場者数の100名を軽く突破し、最終的には上渋佐原田遺跡だけでも約90名、東町遺跡をあわせればのべ約270名の来場者があり、地元の方々の関心の高さを如実に示す結果となりました。午後に予報されていた雨も現地公開中はもちこたえてくれました。調査チームの思いは梅雨の天気も味方につけたようで、来週以降の調査にも弾みがつきそうです。

1上渋佐原田 拡張区の調査.jpg

上渋佐原田 拡張区の調査

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現地公開の様子(東町遺跡)

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子供たちのすがたも目立ちました

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